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子連れバックパッカーのススメ

(1歳児とベトナムへ。フエの王宮前にて)

これは「外国に子ども、それも小さい乳幼児を連れて旅に出かけたい 」という人のためのページです。
「幼い子どもを連れて外国に行くなんてどういうこと?」という意見が多数あることはもちろん承知。 しかし、いざつれて行ってみると子ども連れだからこそ出会える感動がありました。日本以上に街の人みんなで子どもをかわいがってくれているんだなぁ、と感じる都市もありました。結果的には「子どもを連れて行くと良いこともたくさんあるんじゃないのか」と、感じています。考えてみれば、ヨーロッパなどでは、大きなリュックの上に子どもをポイッと乗せた「子連れバックパッカー」も大変多いことに気が付きます。子どもを連れて旅に出ることは全地球的にみるとそんなに奇異な行為では無いのですが、日本ではまだまだ認知・認識が少ないですね。そこで「小さい子がいるんだけど、やっぱり外国も旅してみたい」という方に参考になれば、と思いこのページを作りました。

※追記
 ここのプロフィールのページにも書きましたが、管理人は、実は今、南米に住んでいます。幼稚園児と小学校低学年を連れて、仕事で数年間の駐在という形ですが「危険だ」「リアル”北斗の拳”の世界(笑)」といわれる南米でも、小さな子を連れて様々な場所に出かけることは十分可能だと感じています。周りの日本人ファミリーを見ても「6歳児を連れてエクアドルのガラパゴスクルーズ」は普通として、「1歳の乳児を連れてペルーのマチュピチュ」「2歳と3歳を連れてチリのイースター島」などは良くある話。もっと上には「0歳児を連れてボリビアのウユニ塩湖(標高4200m)!」という方もいます。もちろんだからといって全ての方にオススメはできませんが、小さな子を連れての海外旅行は、要点さえ押さえれば、思っているより敷居が低いことをお伝えしたいと思っています。

まず ここを考慮しよう
日程
一番大切なのは「子どもの体調を悪くしない」ための工夫です。その第一段階が「子どものペースに合わせて日程を組むこと」かと思います。つまりお昼寝の時間を確保したり、無理な日程は決して組まない、食事・休憩の時間は十分にとるなどの配慮です。できるだけいつもの生活と同じリズムで過ごせると体調が崩れません。とにかく、たくさんの活動、移動を計画しないことだと思います。自分の感覚で言うと「独身のパックパッカー時代」の活動・移動量を100とすると、夫婦二人で動く活動・移動量は70、乳児の子どもが同伴すると10、小学生になると50ぐらいと考えています。
訪問先
訪問の都市も出来るだけ少なく、ロングスティ型の計画にする方がベターです。移動時間が多かったり、環境が変わると乳幼児には過度の負担がかかります。動いたとしても数日は一つの所にいた方が子どもの体調が安定します。
お昼寝
非常に大切なのが、日程を組むとき、「いつ・どこでお昼寝をするか」という時間と場所の確保だと思います。子どもの体調を維持するためには、出来るだけ移動中は避け、しっかりしたベッドで眠ることを目指します。
飛行機
何時間も、狭いあの空間にいるのは子どもでなくてもつらいことです。以下に書きましたが、いろいろな工夫をして対策をしていきましょう。
食事
国によって食事事情も様々。子どもさんの年齢に応じて、「持参するもの」「現地で調達するもの」を分けましょう。先進国の場合、スーパーなどに離乳食なども揃っていますが、慣れない言語を読みながら品選びも一苦労。現地のものが口にできない場合は、やはり日本から持参することをオススメします。レトルトやお湯で戻すものを中心に考えると重量なども減ります。
おむつ
オムツが取れていない子の場合は、オムツの問題があります。短期間でしたら、全て持っていくことをお勧めします。なんと言っても減っていくものですし、現地で買えないことはありませんが、手に入りにくいことも多くあります。様々な国の店頭を覗いてみましたが、先進国はもちろん、途上国でも首都の大きな店舗でしたら主要メーカーのものが手に入りやすいことが多かった気がしています。ただし値段は高いことが多く、パンツ型や「夜用」「水遊び用」など高機能なものは、まず手に入らないと考えましょう。
保険 子ども連れで一番心配なのが、けが・病気。その心配を少しでも少なくするために、旅行傷害保険に必ず加入しましょう。そして、「メディカルキャッシュレスサービス」などの有無、対応病院の一覧を作っておくと安心です。
ベビーカー or
おんぶひも
これは各自の考えによりますが、ベビーカーを持って行くか、だっこ・おんぶひもだけで済ませるか悩むところです。自分たちも悩みに悩んだあげく、3歳未満の旅のほとんどには、ベビーカーを持参しました。確かにとても大きな荷物になりますが、場合によってはお昼寝ベッドの代わりになりますし、海辺では荷物置き場など、別な活用もできることを感じました。ただし軽量(B型など)で汚れても良いもの(自分は親戚からお下がりでいただいたもの)が良いと思います。
病院
万が一に備えて、病院は絶対にチェックしましょう。自分の滞在する都市の英語(出来たら日本語)が確実に通じる外国人が多く利用する病院、日本人スタッフが常駐している病院をチェックし、プリントアウトしていくとカンペキです。

 

実際の動き
お昼寝
乳幼児の体調を崩さないためにとても大切なのが食事、そして睡眠です。特にお昼寝はとても大切な要素です。理想は日本での毎日と同じリズムで睡眠が取れるように計画を立てるのがベストです。そうそう、お昼寝がきちんと取れる宿を確保しておくのは言うまでもありません。

(機内でお昼寝。親も休めるひととき・・・)

コミュニケーション
こどもを連れて旅をすること自体、人様の迷惑になることが多々あります。だからコミュニケーションが大切になってきます。これはもちろん旅に限ったことではないのですが、きちんと対応すると旅の一つ一つの場面が思い出深いものになります。多くの国で挨拶をする、世間話をするなど極基本的なやりとりを交わすだけで、みんな子どもに満面の笑みで応えてくれました。「世の中にはなんていい人が多いんだろ」としみじみ感じる瞬間でした。

飛行機を予約するとき
飛行機の料金システムでは、正規のルールから言えば、2歳未満の乳幼児の場合、1席を確保しなければ「ノーマルチケットの1割」を支払うと飛行機に搭乗することができます。しかも、しっかりと最前列・ベビーベットまでリクエストしておけば、「子どもは壁で寝ていて、親はしっかり自分のところで寝る」なんてことも可能です。
しかし、やはり1席欲しい場合は、子ども料金(販売会社・航空会社によって対応が違いますが)で1席頼んでおきましょう。やはり何時間もママの膝の上でだっこはかなり厳しいものがあると思います。また、食事のリクエスト(離乳食orチャイルドミール)も忘れずに。
空粉にて
(チェックイン時)
チェックインカウンターで、食事のリクエスト確認と共に確認したいのがベビーカー(英語ではBaby Carではなく、Stroller と言った方が一般的です)の扱い。要するに空港内を移動するのに自分のベビーカーは使えるのか、使えないのか確認してください。これも空港や航空会社により千差万別。国内空港でいえば、成田はゲート前まで自分のものを使えることが多く、中部国際空港では、チェックインカウンターで預けて、航空会社マーク入りのベビーカーを貸してもらった記憶があります(違っていたらごめんなさい)。外国はもっと多様で、カウンターではゲート前で預ければ良いって聞いたのに「ここでは預かれないから、一回外に出て、大型荷物専用カウンターで預けてこい」と言われた空港もありました。いずれにしても時間がかかるので早めの行動が肝心です。
空港にて
(チェックイン後)
子どもにとってつらいのが待ち時間。特に行動を制限される空港などの待ち時間は非常につらいものがあります。しかし、空港内の設備を見てみると子どもが遊ぶ場がきちんと設けてある場合があります。独身時代は気づきもしませんでしたが、よく見たらいろいろな空港に子ども用の遊び場が用意されています。当然、無料で。

(成田空港第二ターミナルのプレイルーム)

(ソウル 仁川空港の子ども用ルーム)

手荷物検査
国際線に乗る際は、例の「液体は100mlまで」「止めることができる透明ポリ袋に入れて提示しなさい」というルールがあります。でも赤ちゃん持ちのパパ・ママからすれば、飛行機内での必要な飲み物などを持ち込みたい時もありますよね。規則には「赤ちゃんに関してはその限りではない場合もある」ので、とにかくきちんと見せて、説明すれば良いと思います。自分ならば、右手に赤ん坊、左手にマグマグに入れた飲みかけのミルクをもっていたときなども、そのまま通してくれました。
離陸時・着陸時
離着陸時の小さな子どもの大問題が「シートベルト」。離陸時もママのお膝に座ったままが良くて泣いている子もたまに見かけます。ここら辺も航空会社によって対応が分かれますが、乳児の場合は、母親のだっこで許可される場合もあります。幼児になればきちんと自分の席に座り、シートベルトの装着が義務付けられます。ではその中間の2〜3際は? と言えば、「延長シートベルト」(正式名称不明ですが[Extension belt for small children]といえば大抵理解してくれました)を貸してくれるところが殆どです。これは、小さな子どもにつけるシートベルトで、母親のシートベルトに接続するようにできています。ただし、3歳以下用が原則かと思います。  そうそうエアラインによっては、搭乗券の指示通りの場所に座ったらたまたま非常口の前で、「この席には子どもは座れない。他の席に座りなさい」と指示される場合があります。CAの方を介して他の方と席を変わるだけですが、場合によっては一悶着ある場合があります。最近はエアラインのwebサイトで、事前に座席を指定&確認できる場合も多いので事前に確認すると安心です。
飛行中
子どもが飽きないように、簡単な絵本やおもちゃを持参します。折り紙や落書き帳も場合によっては使えます。ウチの子は塗り絵+色鉛筆も有効でした。サービスが良いエアラインだと、簡単なおもちゃを頂ける場合もあります。反対に何のサービスも無いエアラインも増えてきました。

(LAN航空(チリ)でいただいた飛行機のおもちゃ)

機内食
航空会社によって全く対応が違いますが、全く一般客と同様に扱う場合もあれば、丁寧な航空会社は、乗機後すぐに「○○様ですね」と確認してくれて、食事の際も子ども用を一番に持ってきてくれル場合があります。ミルク用のお湯を頂く際も、随時快く頂けますが、やはりアテンダントさんの手が空いた時を見計らって、声をかけると良いと思います。

(エバー航空(台湾)のチャイルドミール)

ホテルの選択
当然ですが、大人と子どもの”良いホテル”の条件は変わってきます。小さな子どもにとって豪華なホテルより、小さな遊び場が着いているほうがいいホテルです。時期が合えばプールが使えたり、庭で遊べるホテルが良いに決まっています。また、大人が行きたい場所に近く、移動時間が短くて済むホテルが良いホテルになります。そして、以上の条件に加えて、大人にとってとても大切な条件は「洗濯機が使えるか」かと思います。例えば滞在型のホテルの場合、コインランドリーがついている場合があります。着替えの多い小さな子連れファミリーにとってこれほど有り難い施設はありません。ネット上で予約する場合も、よく確認すれば コインランドリーがついている場合もありますので、是非確認してみてください。
おむつ
まず悩むのが持ち物でしょう。何でも持っていこうとせずに、現地では手に入りにくい最低限のものを選択して持っていく必要があります。基本的に高価なものは持っていかず「捨ててきても良いもの」「使い捨てできるもの」と考えていくと荷物が減ります。
着るもの
荷物は少ない方が良いのですが、食事など汚すことを考えると、年齢にもよりますが、最低2〜3セット×数日分が必要な場合もあります。下記の「洗濯」をどれだけできるかが勝負です。
洗濯
食事の度に汚してしまう服を、どこかで洗濯しないといけません。高級ホテルならばランドリーサービスをお願いすれば良いだけですが、大人用の服の1/10サイズの乳児服を、それも大量にクリーニングに出すのは費用面から考えても得策とは言えません。そこで私たちは、日本の洗濯干し(ホームセンターに数百円で売っている、四角くてピンチが10個ほどついている小さめなもの)を持参して、ホテルで手洗いして、干しておくことにしました。脱水が不十分だと、細菌によりにおいが発生しますので、お湯と洗濯洗剤で洗い、すすいだあとは、手でできるだけ絞り、そのあと更に大きめのタオルで衣類を挟み込み、それを絞って水分をタオルにしみこませるなど、できるだけ水分を取ってから干しました。これで翌々日には十分着ることができました。
必需品
おそらく多くの乳児家庭で重宝に使っている「おしりふき」。やはり旅先でも必需品です。それ以外に「エプロン」「子ども用よう取り皿とフォーク・スプーン」「ポリ袋」など、いつも日本で使っているセットを確実に持参すると良いかと思います。
移動手段
旅行先ではお昼寝の時間と、移動を兼ねるため、車を借りてしまうのも有効な手段かと思います。乳幼児を2人抱える私の知人はアメリカを旅行する際、大型のキャンピングカーを借り、各地を爆走したそうです。いつでもどこでも眠れて子どもたちもとても快適だったそうです。
 自分も必要に応じて車を借り、昼寝場所を確保しています。普通車ばかりですが、やはり計画の中に入れておくと行動半期が広がると思います。その際の注意点とすれば、多くの国ではチャイルドシートの装着が義務づけられ始めていますので、そのリクエストを忘れないこと。また車種選択ですが、日本のファミリーカーの定番である3列シートのワンボックスカーは、その国内に流通すらしていないことが多いのでお気をつけ下さい。
 それと当然ではありますが、その国の交通法規を熟知すること、地図や緊急時の連絡先の確保、余裕を持った詳細な計画など、リスクを回避する準備が必要になります。


(1歳と4歳の子どもを連れて。オーストラリア)


(幼稚園と小学生になりました。アルゼンチン 中部パタゴニア・バルデス半島)

 

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