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個人旅行のための「言語」

 自分は言語が苦手です。頭も悪く言語を勉強してもさっぱり身に着かない人間です。しかも理系・・・。でも、自力で海外を歩くために言語は必須。いや必須というより”命綱”とも言える存在です。
 このサイトのように海外の話題を書いていると、かなりの割合で「言語はどうするんですか?」と聞かれることも多いので、自分が感じた個人旅行のための言語事情をまとめます。

○絶対に覚える言葉は 「ありがとう」「こんにちは」
どこの国に行こうが、目的がどうであれ、絶対に覚えるべきフレーズはこれ。感謝の意を表す言葉と、あいさつの言葉です。言い換えれば、これさえ言えれば、あとはなんとかなる場面も多くあります。
実際問題、英語で用事が足りてしまう国であっても、やはり感謝の意は、その国の言葉で伝えるべきだと思います。相手の印象が全く違ってくるはずです。
【現地語でのあいさつは大切だと実感した例 エジプトにて】
エジプトは当然ながらアラブビア語の国。しかし観光収入が大きな産業ですので、外国人観光客が非常に重要な存在になっている国でもあります。そんなエジプトで、アラビア語であいさつをするのと、英語で話すのとは大きな違いを感じることがありました。あるレストランに入った時です。英語であいさつをしたら英語版のメニューが出てきましたが、その後、店の方と片言のアラビア語で話をしたらアラビア語のメニューが出てきました。もちろん、アラビア語のメニューは難しくて読めはしませんでしたが、とにかく値段がかなり安くなっていることは分かりました。 (写真:混沌とした現代アラブ社会の代表都市 エジプト・カイロにて)

○「英語」は世界共通語ではない!
日本人は「外国語=英語」と思っている人が非常に多いと思います。確かに全世界では17.5億人が実用レベルで英語を使っていそうです。17.5億人ということはの世界人口(約70億人)のうち、1/4が英語を話している、ということになりますね。しかし、英語のネイティブ・スピーカーはわずか4億人 (Harvard Business Reviewより)。つまり 4億人/70億人しか英語を生来の言語としていません。よって「世界を歩くのに英語だけ話せればOK」ではなく、「英語=世界の共通語」という認識を強く持ちすぎると、現地でものすごく苦労することになります。簡単に言えば、中南米ではスペイン語、 アフリカではフランス語・アラビア語など、ヨーロッパやアジアではそれぞれの言語のみが通じる世界、が世の中の常識です。
「完全にネィティブの英語しか話せない人が、日本の地方都市や地方の観光地を巡りたいと思っても大丈夫か?」と考えてみれば、英語一本に頼る危険性が少し実感できるのではないでしょうか?
【自分の失敗例 メキシコにて】
外国一人旅を始めたころの話です。あるとき思い立ってメキシコに行きました。当然、メキシコがスペイン語の世界だということは理解していましたが「超大国アメリカの隣にある国でしょ?当然、英語なんかバリバリ通じるはずだ」との勝手な思い込みでメキシコシティの空港に降り立ちました。しかし、誰にも英語が通じません。バスもレストランもホテルさえもみんなスペイン語のみでした(自分が地元民しか使わない安いところばかり行っていたのが原因でもありますが)。しかも治安も悪く、ラテンアメリカ特有の治安の悪さから来る不気味さに圧倒され、すごくドキドキしてしまいました。ある程度の先進国ならば、それでも英語が通じる人がどこかにいて、それでなんとかなっていただけなんだと悟り、英語に信頼を置き過ぎていた自分が間違っていたと理解したのは、やっとホテルを探して部屋に入り安全な場所に一人になった時でした。
(写真:異国の恐怖を感じてしまったメキシコシティーの中心部にて)

○やはり「英語」
・・・と、上で言いながらも、やっぱり、世界を歩くのに英語は必須であり便利です。何といっても、世界で最も広く使われている言語。世界191ヶ国のうち、英語を第一言語とする国は12ヶ国ですが、公用語/準公用語とする国は50ヶ国で約6億人だそうです。実際問題、英語がそこそこ使えれば、たいていの国はなんとかなります(断言!)。特に航空業界関係や、大都市の旅行案内所、大きなホテルなどは、英語が通じるところが基本、と言っても過言ではないと思います。個人的に言っても旅先で出会った人と会話するのもとりあえず英語から。アジア人であっても、やはり英語を通してコミュニケーションすることばかりです。
 また、ネットでの予約や情報収集にも英語は必須。航空券予約、ホテル予約にしても日本語が使えるサイトより、英語サイトの方が遥かに量・質が充実しています。日本人があまり行かないような場所の情報を得るときも、やはり英語で情報を探した方が、遥かにたくさんの情報を得ることができます。 また英語の書籍を使うと世界が広がります。例えば英語版旅行ガイドブックの代表格、lonelyplanet はオーストラリアの企業が発行している本ですが、個人旅行にはとても参考になる情報が満載です。この本は世界の旅行ガイドトップシェア(25%以上?)をもち、650タイトル以上を発行しているガイドブックの代表格です。日本語版も少しありますが、やはり英語版が基本。写真はなく、図もシンプルでテキストベースですが、安宿情報やコインロッカーの位置など、日本語の「地球の歩き方」とはまた別の観点で役立ちます。空港内の書店でも扱っていて、荷物になると分かってても、その場でつい買ってしまうことも多いワタシです。
【英語大切だよと感じた例 ベトナムにて】
英語に助けられたことは数限りなくあるのですが、その中で一つの例を紹介します。 ベトナムの首都ハノイにいた時、300kmほど離れた名勝ハロン湾を見たいと思いました。しかし、宿泊していたホテルのコンシェルジュに相談すると、ものすごい金額を提示されました。「いくらなんでも高すぎ」「地元のバスで行こう」と思いましたが、バスターミナルが分かりません。そこでタクシーでバス乗り場まで行くことにしました。しかし、ベトナム語が話せない自分。運転手に説明してもうまく伝わりません。そんな時、ホテル入口のベルボーイさんが英語-ベトナム語の通訳をしてくれました。詳しく聞くと、ハロン湾行きのバスが出るバスターミナルは最近移転したとのこと。道理で通じなかったわけです。結局、このベルボーイさんの通訳のおかげでなんとか無事にハロン湾に行くことができました。 (写真:ベトナム・ハノイ市内を高層ホテルの窓から)

○できるだけ現地の言葉を使おう
いろいろ書いてきましたが、しかし、可能であれば何といっても現地の言葉が最良です。きちんとした文になっていなくても、「伝えよう、話そう、理解してもらおう、理解しよう」という姿勢は絶対に現地の方に好感が持たれるはずです。
【自分の失敗例 ラトビアにて】
バルト三国の一つラトビアの首都リガにて、そこ知り合った韓国人と意気投合しました。市内を一緒に観光した後、彼が「次はロシアに行きたい」と言い出したので、二人でロシア大使館に行きました。自分ももちろんロシアに行ってみたいけど、ロシア訪問の個人ビザを取るのは至難の業と聞いていたので、ロシア行きは最初から断念していたのですが、「もしかするといけるのかな?」「それならば、少し予定を変えてロシアに行ってみたい!」なんて考え、気軽に付いて行きました。ロシア大使館に着くと、非常に威圧的な受付のオジサンがいて「お前達、何の用だ?」「なんで東洋人がここに来るんだ?」と非常に強い口調で詰問されました(確か英語で)。そして「ロシアを訪問したいのでビザが欲しい」と説明しました。しかし「ダメだ」というようなことを言われたので、「だめなら、ビザ取得のために何をしたらいいのか情報が欲しい」と尋ねたら、ロシア語で「※☆%$&#~※)&!」とかなり強い口調で言われました。それが理解できなかったので、なんていえばいいのか悩み、少し返事を考えていたら、さらにロシア語で返され、結局、敷地から出るように指示されてしまいました。おそらく「なんでロシア語もわからない東洋人がロシアに来るんだ?」と言っていたように思います。普段からロシア人は東洋人蔑視の傾向が強いと感じますし、しかも場所がバルト三国のラトビアでしたので、傲慢なロシア人の振る舞いはある程度は理解できるものの、こんなに強く・直接受けたことはあまりなく、かなり衝撃的な出来事でした。 【教訓】 やっぱり、その国の言葉を知らないと、入れてくれさえしない場合がある。
(写真:ロシア大使館で玉砕した韓国人K氏とツーショット。ラトビア・リガの聖ペテロ教会St. Peter's Churchの展望台にて。左が韓国人のK氏、右のモザイクが筆者。)

○車の運転などをするときは特に現地語が話せることが必要
今から数年前の数年間、南米に仕事で赴任していた時(ま、ブラジルです)苦労して車の免許を取りました。かつて日本人はブラジル国内においては日本の免許の書き換えだけで、簡単に現地の免許証が取得できたのですが、日系ブラジル人が日本国内で起こす交通事故に苦慮した日本政府が「ブラジルの運転免許の日本国内での簡単書き換え禁止令」を出してから、ブラジル政府も報復措置として、「ブラジルにおける、日本人の運転免許簡単書き換え禁止令」を出してしまいました。よって自分たち日本人がブラジル国内で運転免許を取得するためには、ゼロからポルトガル語で試験を受ける必要が出てしまいました。
・・・と、いろいろあって、結局なんとか運転免許を取得したのですが、取得の際の最後の誓約文に「自分はブラジルの交通法規を遵守します。ポルトガル語が理解でき、読んで書くことができます」なんて署名をポルトガル語でさせられました。
 しかし、やはり苦手なものは苦手なので、そんなに上手にポルトガル語を話せないワタシ。町なかを歩いている分には、上手に話せない外国人がいても問題なしですが、困るのは運転中、警察の方に話しかけられたときです。しかも日本ならば、警察に停められるのは飲酒検問くらいかもしれませんが、治安最悪なブラジルでは結構な頻度で、運転中警察の方とお話する機会があります。(お隣アルゼンチンやボリビアでも、幹線道路に大きな検問があり、全員を取り調べていたりもします。)
 と、毎回ドキドキしていましたが、結局、単なる日本人から犯罪の香りがするわけもなく、検問の警察のお兄さんたちも「おお、日本人ファミリーかい?」「どこ行くの?」「遠くから来たねぇ」 などと世間話をするのがせいぜいで、問題はありませんでした。 しかし、いつも「もっとちゃんと話せるようにならなくては・・・!」と痛感していました。 (写真:いつでもどこにでもいるブラジルの警察官。 サンパウロ 旧市街 centroにて。)
○重要な場面で無理して使うとトラブルのもとに
現地の言葉で質問すれば、当然ながら現地の言葉で返ってきます。ですので、重要なことを質問するときは、やはり自分が理解できる言葉でやりとりすべきだと思います。
【自分の失敗例 フランスにて】
 いまから10年ほど前。あるときフランス・パリのあるホテルを予約しようと思いました。ネット予約ができないホテルでしたので、FAXで空室を尋ねようと思いました。その時「パリだからな。やっぱりフランス語で書くか」と、得意でもないフランス語で空室状況を尋ねるFAXを送ってみました。ほどなく返信が返ってきましたが、返事も当然フランス語。しかも欧米人に良くある悪筆の手書き文字で良く読めません。でも「まぁ、なんとかなるだろ」とそのまま放っておいたのですが、出発直前、念のためフランス語が堪能な友人に見せたら「オマエこれ、満室だから他を当たれって書いてあるよ。」と教えられ、かなり焦った記憶があります。「初めから英語できけばよかった・・」と反省しきりでした。
【教訓】苦手な言葉で質問すると、苦手な言葉で返信がきてしまい、結局困る。
(写真:フランス・パリ市内にて。結局、パリCDG空港の案内所で手配してもらったホテル周辺の様子)

○「日本語」を活用しよう
外国でトラブルに巻き込まれた時。特に悪い人にひっかかりそうになったり、料金をぼられそうになった時、現地語で文句を言うには語彙力がなさすぎるときがありますよね。そんなときは日本語で思いっきり文句を言うのも良いそうです。相手には「とにかくこっちは怒っているんだゾ」と分かれば良いので、日本語で思いっきりまくしたてればOKだそうです。関西弁ならなおさら良いとのこと。こんな場面では、外国語よりも日本語が便利ですよね。

 また、全く別の話ですが「ここでは英語や下手な現地語より、日本語の方が通じる・・かも」と思う国もありました。
【例1 韓国】
韓国のソウルで道に迷った時、地図を見ていると、おじいさんが日本語で「ナニカ コマッテイマスカ?」と聞いてきてくれました。また、ソウル近郊の水原(スウォン)の案内所で、目的地へのバスの番号を聞こうと思ったら、こちらが何かを言う前から、日本語で案内してくれました。両国間には、反日感情だの、いろいろな思いがあるのは承知していますが、変に英語を使うより、日本語の方が通じやすいかも?、とさえ思ってしまった韓国でした。
(写真:ハングル語で尋ねる前に、日本語で返事が返ってきてしまった水原の旅行者案内所)
【例2 台湾】
台湾の高雄にて小さな子ども(幼児2人)を連れて、市バスに乗っていたところ、おばあさんに「ニホンカラキタノ?」と日本語で話しかけられました。そして自分にも同じくらいの孫がいること、この近くに住んでいることなどを話したあとで、「コレ、オミヤゲネ」「タイワンニ マタキテネ」と買ったばかりの大きな肉まんを自分たちに何個か分けてくれてからバスを降りて行きました。戦前の日本語教育を受けたとは思えない年齢の方だったので、きっと何かの方法で日本語を身につけられたのだと想像しますが、楽しい会話と温かい心遣いに、とっても感激してしまいました。
(写真:台湾 (高鉄でなく国鉄駅の)高雄駅前のバス乗り場にて)

・・・とまぁ、書いているうちに「ずいぶん矛盾していることを書いているな」と感じますが、それでもやはり外国へ行く場合、現地語、そして英語はある程度使えるようになっておくといいかなぁ・・・と思います。