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レンタカー実践例 カンボジア シェムリアップで 電動バイク を借りてみた        

レンタバイクを借りたわけ
レンタカーではなく、レンタルバイクなのですが、何かの参考のためにこの項目に入れるわがままをお許しください。
 カンボジアの誇る「アンコール遺跡」を見たくてシェムリアップに出かけました。ただし、あまりにも壮大で数も多く、個々の遺跡の距離も多少離れているため、見て回るためには一般的な人で2〜3日かかります。遺跡類はシェムリアップの付近に集中しているため、ほぼ連続してぐるぐると回れるのですが、それらを回るのに短いコースで20kmほど、長いコースで40kmほどあるため、どうしても足が必要です。自分はおチビを含めた家族4人で訪れたので、4人でいるときは「トゥクトゥク」と呼ばれる3輪バイクタクシーでいろいろな遺跡を見ました。中心となる遺跡を見終わったある日の午後、遺跡周りに飽きたチビたちが「ホテルのプールで遊んでいたい」と言いだしました。自分はもう少し寺院を見てみたい、と思いましたので、相談の結果、子どもと妻はプール。自分だけで再度遺跡を回ることに決定。でも時間的余裕はあまりなかったので、できれば車かバイクが良いと思い、回りの人に相談すると、「レンタカーはやめた方がいい」「警察にわいろを渡さないといけないから」などと言われ、せめてバイクを借りられないかな?と考えたわけです。
そこで
そこで宿泊しているホテルで「バイクを借りたいんだけど・・・」と相談すると、この「Green E-bike」を紹介してくれました。”電動”というところに一抹の不安を覚えた私が”普通のバイクが良いな”というと、「こちらの方が安全で、簡単だからオススメ」といわれたので、「まぁそれも経験かな」と思い、借りることにしました。ちなみにシェムリアップのホテルでは、自転車を貸してくれるところがほとんどです。普通の自転車なら無料〜USD5程度、マウンテンバイクならUSD5〜10程度が相場のようです。自転車でも良いのですが、街から一番近いアンコールワットまでも片道5km。多少気合を入れる必要があります。
感想
ということで、このGreen e-bikeを借りてみました。このレンタルは非常に簡単でした。しかも説明も契約もカンボジア語ではなく、全て英語。なんてありがたいんだと思いながら、示された簡単な書類を書きながら、簡単な説明を受け、多少の講習と運転練習を数百メートル走ったら、「行ってらっしゃい」となりました。「電動ってことは、電池が切れたら終わりだろ?」「電池は最大40km持つって言っていたな」「40kmなんて、時速40kmで1時間も走ればすぐじゃないか?」なとどいう不安を感じながら走り始めました。とにかく「40kmは走れる」という言葉を頼りに走りだしました。バイク自体は中国製の簡易なもので、多少変な音はしましたが、比較的まともでそれなりに走りましたが、とにかく電池容量が心配でした。そしてその心配に輪をかけるように電源電圧はどんどん落ちていきます。自分は遺跡の”大回りコース”と呼ばれる35kmのコースを行きたかったのですが、途中に「Free Cherge Point」つまり「無料の充電地点」があるから、と聞いていたのでそれを目指して進んでいきました。しかし、その充電ポイントに着いてみると、ななんと、紹介された2か所両方とも、呼べど叫べどだれも出てこず、完全にクローズ。「これでは大回りコースはおろか、もとに戻ることも難しいぞ・・・」と、異国でのひとりぼっちトラブルの気配を感じ、久しぶりに絶望的な気分になりました。
結局
結局、充電ポイントで充電できず、ほぼ空の状態でまだまだ街から遠い位置で途方にくれていましたが、ただこのバイク、幸いなことが一点だけありました。電動バイクと言うよりも電動自転車的な性質をもつこのバイク、なんとペダルがあったのです。ペダルは直接車輪に通じていませんが、発電機には接続されていました。そうなんです。なんとか重いペダルを回すと、発電されて、少しだけ進むことができるのです。ただし、発電の効率は非常に悪いので、普通に自転車を漕ぐ場合にくらべ、2倍ほど足を動かす必要がありました。結局7kmほど、電源が”空”の状態で、漕いで漕いで漕ぎまくってようやく市内に着き、レンタル店に戻りました。社長が出迎えてくれたので、状況を話すと、「そんなはずはない。おれは全てのバイクと電池を毎日調べているが、途中で電池が切れることが絶対ないはずだ。充電ポイントが休みだったのは申し訳ない。しっかり話しておくが」と言っていました。「そんなこと言っても、現実に切れてしまったんだもん。」と言い返したいことはありましたが、この社長にこれ以上話しても・・・と思い、とりあえずお礼を言って、握手をして店を後にしました。自分のスタイルには”電動のりもの”やはり合わない、と感じたのが素直な感想です。ただ、街を目指して必死にペダルを漕いでいると、普通の自転車をかりた外国人観光客の集団に抜かれ際に「大変だねぇ」「これ、電池がきれちゃったんだ」「見ればわかるよ。がんばって!」と会話したことが良い思い出です。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
ここが「Green E-Bike」のお店。シェムリアップの中心部にあります。
(H.I.S.シェムリアップ支店のすぐ隣あたりです)
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
レンタル料金はUSD10/24時間。必要書類はパスポートのみ。パスポートと引き換えにバイクを借りる感じです。「運転免許は必要ないんですか?」と聞いたら、「そんなものここでは不要」と言われました。ウソか本当かわからないのですが、とにかく店のお姉さんたちはそう言っていました。ヘルメットすら義務ではなく「ヘルメットどうする?」と聞かれました。(もちろん借りました。)

【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
レンタルの諸条件が壁に掲示してありました。
「レンタル条件:16歳以上。カンボジア入国ビザとパスポートを預けること。事前講習と練習を受けること。レンタル契約に同意すること。事故の際は各自の保険でまかなうこと。
 最大航続距離40〜50km(推奨速度下において)。推奨速度20km/h。最高速度32km/h。 充電時間5km分/時間(空から満充電は6〜8時間)。定員1名。最大積載量125kg。レンタル単位1日(延長1時間ごとにUSD1)。別のバッテリーへの交換料USD2。当社は事故の責任は一切取りません。盗難や破損の場合は弁償してもらいます。」とのこと。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
書類を書き、説明を一通りしてもらうと、実際のバイクで、もう一度使い方や注意点を確認します。そして、ヘルメットをかぶり、目の前の通りを数百メートル試乗し、操作方法を確認します。このお店の対応は、正直言って(カンボジアにしては)とても丁寧なしっかりした対応でした。お姉さんの説明は端的かつ明確でとてもわかりやすく、素晴らしい対応でした。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
というわけで、借りたのがこのバイク。フロントのライトの下の四角い箱は収納になっていて、そこにはチェーンと鍵が入っています。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
操作部分はこれ。真ん中のメーター。左右はブレーキ(自転車と同じ)。右がアクセル。右がウインカー、左がライト。ホーンはスイッチが両方についています。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
後ろ姿。こうやって見ると、それほど悪いデザインではありません。ナンバープレートの部分には「RENT ME!(私を借りて!)」という宣伝文句が。「いいのか、これで?」と感じるのは気のせいです。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
この車種は何だろう?と思い、色々調べてみましたが、中国のZhejiang Haoren Electric Vehicle という会社の HR-033 CE Electric bike かな?と考えました。デザインも機能もいろいろな意味で中国製っぽいです。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
これがメーター。大きな2ケタの数字はスピード。左下に見えるのは走行距離計。右下のものが(一番大切な)電圧計。設計で”中国製だなぁ”と感じるのが、例えば走行距離計。一度スイッチを切ると、ゼロに戻ってしまいます。つまり「今、何キロ走ったから、あと何キロ走れる」という計算が全くできません。ちょっと回路を工夫し、積算計にすればいいのに、と思うのは日本人だからでしょうか?。電圧計はこの画面では50.7Vになっていますが、お姉さんいわく、「フル充電で52V。これが42Vになったら空よ」と言っていましたが、容赦なく電圧は低下していきます。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
幼いころから機械・電気類が大好きで、長年様々な電池、電気機器を多数使用している自分(アマチュア無線の国家資格免許は小学生の時に取りました)は、はっきり言ってこういう大きな電流を使うものの”電池”を信用していません。どうしても電池内部の劣化や、電池特性を考えてしまい、表面に見える電圧=電池残量とは思えず、安心できないのです。この電池もサイズと容量からしてLi-ionではなくNi-Cd、良くてNi-MHだと考えると充電回数に比例してガンガン劣化していくはずです。実際に走ってみると、この写真のように電圧はみるみる減っていきました。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
これが貸してくれたヘルメット。どう見ても自転車用ですが、このバイクにはこれで十分です。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
いろいろ心配を書きましたが、それでも自分の好きなところに行けるバイクの爽快感はたまりません。しかし、走りながらは上手な写真が撮れないのが難点です。(当たり前ですが)
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
しかも、こんな簡単場所でも地図がないと迷ってしまいました。よって、つい、タブレットを出して道を確認してしまいました。(パケット契約をすると高額なので、ホテルのWIFIでgoogle mapを保存しておき、そのデータをタブレットのGPSを使って位置表示をさせました)
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
いろいろな風景に、生で出会えるのが2輪車の良いところ。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
4輪車よりも2輪車が似合う国ですね。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
このe-Bikeのシステム上の大きな欠点がこれ「free charge point」。事務所のお姉さんの説明によると、「市内のたくさんの場所に無料の充電ポイントがあるから、そこで充電すれば十分長く走れるわ」とのことでしたが。遺跡のそばの充電ポイントを目指して走ると大きな道沿いに写真のような看板があったので「やった」と思い進んでいっても。それらしいものは何もありません。いろいろな人に聞いてやっと目指すそれらしい建物についても、誰もいません。結局、充電できずじまいでした。
【カンボジア シェムリアップで電動バイク】
上の充電ポイントがだめでも500mくらい離れたところにもう一つ充電ポイントがあると地図に書いてあったので、そこに行くと、写真のようにレストラン兼Green e-bikeの看板があり、喜んで行くと・・・。店はありましたが、誰も出ず。外の扉は開いていても、中は鍵がかかり、どんなに声をかけても誰も出てきません。15分くらい粘って近所の人に聞いたりしましたが、結局家人はだれもおらず、充電自体を諦めました。うううーーーん。40kmしか走れない電動バイクに、これはダメだと思うんですが。まぁ、カンボジアなので仕方がないと言えば仕方がありません。

 

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