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携帯電話を海外で

携帯があるのが当たり前になってしまった私たちの日常。海外に旅に出ているときくらい携帯電話から解放されたい、という思いを持っていました。いや、旅に出ているときこそ、様々な連絡が否応なしに入ってくる携帯電話は絶対に持って行ってはいけない、とさえ思っていました。ところが、その認識が「幼児とともに貧乏個人旅行をする」という経験の中から変化しました。 「子連れバックバッカーのすすめ」の項目にも書きましたが、乳幼児を連れて海外を個人旅行するというのは想像以上に過酷なものです。予定していた日程を順調にこなしてれば何の問題もない海外旅行ですが、トラブルが頻発するのが個人旅行。私なんかはそのトラブルが楽しくて仕方ないのですが、幼児連れでは「飛行機が遅れた」「宿がない!」「食べ物に当たったらしい」「けがをした」など大人であれば何の問題のない事件も、小さな子どもにとっては命に関わる場合も出てきます。そんな時やはり手段として使えるならば備えておきたいと思ったのが携帯電話でした。そして使ってみると、想像以上に「バックバッカーにもおすすめできる部分がある」と感じたのです。 海外に携帯を持って行くことに抵抗を感じている方も「そっか、そういうメリットもあるんだね」と何かの参考になれば幸いです。ただし、携帯電話の世界は非常に複雑です。多少の知識を持っていなければトラブルにあうこともあります。海外で携帯を使う人も、使わない人も知っておいた方が良い知識をまとめました。
(photo:NTT-Docomo Mobile set)


まずは基礎知識  携帯電話規格 基礎講座

日進月歩している携帯電話の国際規格の変遷と現状をまとめてみました。

世代
規格
周波数帯
主な使用地域
第1世代(1G)

アナログ方式(周波数多重アナログ変調)
HiCAP NTT
800MHz帯
日本のみ
NTTが開発。日本国内のドコモやIDOのアナログ携帯電話に利用されていました。
AMPS
800MHz帯
主に北米・南米
アメリカのアナログ携帯電話の表中規格だった。いまでもアナログ携帯電話としてこれら地域で使われています。
TACS
800MHz帯
主にヨーロッパ・アフリカ・アジア
アメリカのAMPSを原型として英国向けに開発された方式です。英国など広くアナログ携帯電話規格として利用されています。日本国内ではIDOやDDIがアナログ携帯電話に利用していました。
NTM-450

NMT-900
450MHz、900MHz帯
主に北欧
北欧諸国で開発されたアナログ携帯電話方式。デンマーク、 ノルウェー、スウェーデン、フィンランドが中心に利用しています。アジアやアフリカでは使われている地域があるらしいです。
第2世代(2G)


デジタル方式( 時分割多重デジタル変調)
PDC
800MHz、1500MHz帯
日本のみ
Personal Digital Cellularの略で日本独自規格でドコモが開発しました。800MHzはご存じmova、1.5GHz帯はドコモがシティフォン、ボーダフォンがデジタル携帯電話として利用しています。現在の日本の携帯電話の主流。
GSM
900MHz、1800MHz、1900MHz帯
世界中(200ケ国以上)
Global System for Mobile Communicationの略で日本・韓国を除く世界で最も広く使われていて世界標準といって良い規格。ヨーロッパで生まれたシステムで、900MHz帯を利用するGSM900が最も一般的です。
D-AMPS
800MHz、 1800MHz帯
主に北米・南米
AMPSと同じ800MHzの帯域及び1.8GHz帯を使う規格です。通称米国デジタル携帯電話規格。主に北米やラテンアメリカで利用されています。
cdmaOne
(IS-95)
450MHz、 800MHz、 850MHz、1700MHz、 1900MHz、 2100MHz帯
主に北米・南米、オセアニア、アジア、東欧、アフリカの一部
cdmaOneとはCode Division Multiple Accessの略で各種の特許・新技術を持って米国で生まれました。米国標準規格IS-95により規定されていて、2.5世代とも言われています。米国、カナダ、香港、韓国、オーストラリアなどに導入されています。日本でもauで利用しています。
第3世代(3G)

IMT-2000方式 (符号分割多重拡散変調)
W-CDMA
2GHz帯
主に英国、イタリア、日本
W-CDMAはいわゆる、ドコモのFOMAです。世界で一番最初に日本でサービスを開始した第3世代携帯電話システム。その後、ボーダフォンもVGSとしてサービスを開始しました。
cdma2000 1x
450MHz、 800MHz、 1700MHz、 1900MHz帯
主に北米・南米、オセアニア、アジア(インド、インドネシア、台湾、中国、日本、韓国)での規格。日本ではauが800MHz帯で運用しています。
Super3G
開発中
4G
開発中

要するに?    普段は日本で生活をし、時々外国にいく人間が知っていればいい知識

質問
答え
何の方式を使えばいいの? 渡航先によって違いますが、GSM、CDMAが主流です。
渡航先によって対応機種が違うと聞いたけど? GSMはヨーロッパ、アジアで広く採用されている方式 ですので、1台の電話機で複数国利用が可能になります。ヨーロッパ・アジアに米国も含めて1台で利用する場合、米国での通話可能地域が限定されることが多いようです。米国、カナダでは通話可能地域が広いCDMA方式の方がよいようです。韓国は独自規格 のため、専用機が必要になります。
「ローミング」って何? 自分が利用契約をしていない通信事業者(海外等)のサービス・エリアで通信することです。
国際電話と国際ローミングの違い

携帯電話業界で「国際電話」とは、日本から海外にかけることをいいます。それに対して国際ローミングサービス(または単にローミング)とは自分が海外から、日本、外国、渡航先の国内にかけることをいいます。つまり、その国の携帯電話会社のシステムを使う発信者になることです。

電話番号はどうなるの? 機種・契約方法によっても異なりますが、専用の番号をもらう場合と、日本でいつも使っている番号をそのまま使える場合があります。日本の番号を使う場合は+81(日本の国番号+90(携帯電話識別番号)+********(自分の番号)という番号になります。
メールやテレビ電話はどうなるの? SMS(Short Mesage Savice)要するにショートメールや、WAP(Wireless Application Protocol ) i-modeみたいなもの、に対応している場合があります。これも機種や規格、渡航先の電話会社によって提供サービスが異なります。
具体的にはどうすればいいの? 自分の使っている携帯電話会社のサイトを見たり、電話で質問するのがベストかと思います(笑)。技術の進歩も、規格も企画もサービスもすぐに変化してしまう業界ですので。web上にも海外携帯レンタルの会社が多数広告を出していますのでそこに問い合わせるのも良いと思います。いずれにせよ、ここに書いてあるのはあくまでも参考の一つ、とお考えください。

 重要! 海外利用するときの注意点

落としたら大変

携帯電話を紛失したら、当然すぐに対応しなくては、犯罪に使われてしまう可能性があります。また、ある程度、携帯電話というもののシステムをしらないと、課金、多額の請求、という事態に発展する可能性があります。落とさないように十分注意することはもちろんですが、落としたときのために、連絡先の確認。警察の届け出などをすぐする心構えが必要です。

怖いのはSIMカード

FOMAなどの3G携帯が使っている、自分のデータが入ったICカード。それがSIMカードです。FOMAではFOMAカード(正式にはUIMカード)というものですが、これがとても大切なものです。その存在を知っている人でもただのメモリーと思っている人が多いのですが、実際はSIMカード=クレジットカード(自己認証、電子マネー対応カード)です。機器的に見ても、実はCPU+OS付きの極小パソコンともいえるものです。つまり、FOMAを持っている人は、その中に個人情報と電子マネー対応の個人パソコンを持っている、といってもいいくらいです。これが盗難される怖さはおわかりいただけるでしょうか。

SIMカード自体に暗証番号を登録
SIMカードは極小パソコンですからかなりの高機能です。当然これ自体にパスワードをかけることができます。海外に持ち出す可能性がある人は、パスワード設定を、強く強く強くお薦めします。パスワード設定をすると、毎回電源を入れるたびにそれが要求され少々面倒なのですが、万が一、海外で盗難にあった場合はこれがとても大切な防護機能になります。
自分の携帯電話を電話として使わなくても、海外に持ち出す時の注意点
最近海外に出かけるのに、電話がかからないのを承知で、カメラやその他の機能を使うために携帯電話を持ち出す人も多いようです。また海外で使わないでも、空港までの往復に使おうと思って、持ったまま海外に行く場合もありますよね。そうした場合、とても怖いのがやはり「盗難」と「紛失」です。本体がなくなってもたいしたことないのですが、怖いのは「SIMカードを不正利用されること」。本体は海外方式未対応でもSMカードは使える場合が大変多いので、本来は持って行かないほうがいいかもしれません。どうしても持って行きたいのならやはりSIMカードのパスワード設定は最低でもしておきましょう。
通話しなくても課金される場合がある
海外では、通話しなくても呼び出し音を鳴らしただけでも課金される場合があります。イメージとすれば、誰かの家に電話したとき、不在で留守電が対応している場合でも、回線とすれば「通話」扱いになり、電話料金が課金されるような感じです。具体的には通話相手が出なくても30秒以上コールし、いろいろな呼び出し音がリレーされている場合等は、発信者に課金されることがあります。着信者には課金されないのでご安心を。
不要なのに「国際ローミングサービス」に入っていませんか?

最近「怖いなぁ」と思うのは、自宅近くのドコモショップで、以前はオプション加入だった「国際ローミングサービス」をほぼ全員に無条件に適応していることです。自分の両親の機種変更の時、窓口嬢が「無料ですので手続きしておきました」とにこやかに言っていたのですか、これ、とても恐ろしいことです。必要な人間が必要なサービスに加入するのは当然ですが、海外で携帯を使いそうもない、年配者の携帯まで国際ローミングサービスに加入とはどういうことでしょう?。もし、上の項のように「電話としては使わないけれど、カメラとして持っていったその電話を盗まれ、SIMカードを差し替えてガンガン使われて数百万の請求が来た」場合には、ドコモショップの窓口嬢は支払ってくれるのでしょうか。おそらくそこまでの認識(知識)?を持っている窓口嬢はいないのかもしれませんが、不要なローミングサービスは断固断るべきです。


実際に使ってみて
〜具体的な使用方法 NTTドコモ利用者の場合〜

怖いことをたくさん書きましたが、当然メリットもたくさんあります。やはり「やってみなくては実際はわからん」ということで、NTTドコモ利用者の私の実際の利用例を紹介させてもらいます。 尚このデータは2005年8月現在の方法です。進歩の早い業界ですので実際に使うときは必ず御自分でチックしてください。

FOMAの方が比較的簡単 全項のFOMAカードの存在のため、FOMAの場合はは手続きが比較的簡単です。movaはちょっと大変です。mova自体、徐々に淘汰されていく規格なので、これを機にFOMAに変えてしまうのも手かもしれません。
なぜFOMA? FOMAカードを使うので、いつもの番号がつかます。電話帳を記録することもできます。
要するに何をしたらいいの? 自分の持っている端末は海外では使えません。よって本体をレンタルする必要が出てきます。FOMA N900iGが一般的です。
申し込み webサイトが便利です。必要な項目は貸し出し期間、かり出し・返却場所、渡航先(韓国かそれ以外か)でokです。自宅近くのドコモショップで申し込むと基本料が倍取られますので注意。
かり出し 自宅に無料で届けてくれます。または空港の出発ロビーにカウンターがありそこを指定することも可能です。ちなみに成田の場合、3階出発ロビーの奥の奥(宅配サービスなどがある所)です。ちょっとわかりにくいのでインフォメのお姉さんに聞きましょう。
借りられるものは 専用ポーチの中に「電話機本体、予備電池、充電器、変換アダプター、しおり」が入ってます。もちろんストラップは付いていません。(何か持って行った方がいいかもしれません)
いつもの携帯は 空港の貸し出しカウンターでは預かってくれません。「電話帳」として一緒に持って行く人が多いようです。
料金は 機器のレンタル基本料金が100円/day。(2005年8月は210円でした)。国内通話50円/min、日本へ100〜200円/min。国や会社によってもかなり異なります。

実際に使ってみました

レンタルしたFOMA N900iGです。日本のドコモショップで普通に販売していて、当然、日本国内も対応しています。頻繁に海外に出る人は購入するのも手かもしれません。ただし、日本だけでの使用では、電池持ちが悪く、メリットもあまりありません。
液晶表示。SDマークの隣にGSMモードで動いている表示があります。また日付の下に現地キャリア名が表示されます。
現地キャリア名の拡大表示。この時は中国・北京で使っていたので、中国の携帯電話会社CMCC(China Mobile Comunication Campany)の文字がでています。
大きな変換プラグと、スタンド。下の端子を壊さないように接続して充電すればいいので、できたらこのスタンドは選択制にしてほしいと思うのですが・・・。


使っての感想  メリット

1、安心 小さな子連れで海外に出ると、雑踏ではぐれそうになったり、またはホテルで昼寝をしたりするときありますよね。または大きな施設や店にいるときついはぐれたり・・。そんな時はやはり携帯電話がとても便利です。複数人で行動する時、地理に不案内な海外こそ「あってよかった」と思う瞬間がありました。
2.カメラ 200万画素のデジカメになります。自分のminiSDカードを持って行けばそこに記録できます。
3.電卓 自分の場合、その国に入国して数回の両替と買い物で金銭感覚をつかむのですが、そんな時やはり電卓が便利です。携帯があればわざわざ電卓を持ち歩く必要がありません。
4.目覚まし 実はこれ、偉大な機能です。旅に出るとどうしても目覚ましが必要になりますよね、そんな時、携帯のアラーム機能で十分です。(国内では当たり前にしていることなのに気づきませんでした・・・)
5.ライト モンゴルの草原でゲルに泊まった時、懐中電灯が必要でした。そんな時、短時間なら「写真・ビデオ撮影モード用のライトが使える!!」と気づきました。ペンライトくらいの明るさがありますので、十分実用になります。海外でよくある夜中の停電にも安心です。
6.リンコファーム・レンタカー リコンファームをするとき、必要になるのがホテル名。自分のように一つの町に長く滞在しない人間は、いつも「ここのホテルに連絡してもいないんだけどな」と思いながらチェックアウトしたホテルを言っていました。携帯があればそれで十分です。レンタカーを借りる時の現地連絡先も同じ。

デメリット

1.危険性 前項にも書きましたが、クレジットカードをもう一枚持っているということで、保管・利用には気を遣います。実際にはFOMAカードのバスワード設定をしておけばかなり気が楽です。

2.費用

やはり高いです。基本料金が100円/day。(うう、2005年8月は210円だったのに〜)。本体が盗難紛失した時の保険もあるのでそれに加入するとさらに追加費用がかかります。

3..荷物が増える

当然荷物が増えます。特にでかいのがアダプター。全世界対応型なので仕方ありませんが、北米のように、不要な地域に行く際は本当にじゃまなだけです。

4.手続きが煩雑

まだまだ一般的ではないので、初めての場合はとまどうこともたくさんありました。
5.つまらん連絡を旅先で受けてしまう 実はこれが一番イヤです。聞きたくもない連絡や、電話での販売、間違い電話?など、目の前の外国の風景にふさわしくない連絡を聞くはめになります。様々な経由をしてくるので「番号表示」もたいていめちゃくちゃですので、それで取捨選択する訳にもいきません。
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