古代都市ティオティワカン
Pre-Hispanic City of Teotihuacan
紀元前2世紀。ここラテンアメリカにも集権国家型古代文明が成立しかけていました。ところが大きな火山の噴火のため、大規模な都市が壊滅してしまいました。そして、紀元前後。「神々の座」を意味するここティオティワカンに巨大な宗教国家が成立しました。350〜650年ごろ、この国は最盛期を迎え、人口は20万人の大都市になりました。当時としてはアメリカ大陸はもちろん、長安やコンスタンチノープルと並んでも比類のしようがないほどの巨大な都市でした。平和的な神官政治は、全ての政事を司る神官を頂点に軍人、商人と分類されていたとのことです。この遺跡の建物は「タルー・タブレロ」という建築様式で建てられています。傾斜する基壇の上に垂直な板面をはめ込んだ基壇の積み重ねによってピラミッドを形成しています。今は石がむき出しになっていますが、以前は漆喰で覆われて、彩色もされていたとのこと。きっと今とは比べものにならないほど壮麗できらびやかな建築物だったに違いないと思います。そんな栄華を誇ったこの文明も7世紀にはなぜか衰退してしまいました。文字を持たない文明のため、その理由も未だに解明されていません。そしてしばらく歴史から忘れ去れていたここだが14世紀にアステカ人によって発見されました。アステカ人はこれこそ神々が建てた都市だと信じ、彼らの宇宙観「太陽と月の神殿」の舞台としたそうです。1998年に月のピラミッドの裏側に墓地の跡が見つかりましたが、まだまだナゾだらけの遺跡。発掘調査の進み具合は全体量から見るとまだまだ10分の1程度との話です。