三菱 パジェロミニ(H58A)の全マフラー交換
さて、今回、マフラー交換するのは、三菱パジェロミニ。H58A型と呼ばれる最終型です。
ここの切断がすべての始まりです。マフラーの最後部、メインマフラー(サイレンサー、タイコ)と、その前の接合部分が腐食して切断されてしまいました。排気はサイレンサー前で勝手に横に抜けますので、エンジンを吹かすたびに爆音がしますし、動くたびにギコギコ大きな異音がします。
では、作業をしていきましょう。
まず、最初にやることは、車体を持ち上げることですね。もともと最低地上高が195mmもあるパジェロミニ。JB64のジムニーの最低地上高205mmにはかないませんが、他車と比べてもかなり優秀な高さがありますが、マフラー交換となるとやはりジャッキアップが必須。いろいろ考えましたが、作業中の車両の安定と、準備の簡易性より樹脂でできた大型のカースロープを買ってしまいました(7,000円ほど)。これで170mm上がりますので、準備がかなり楽になります。
フロント、またはリアだけの作業ならばカースロープでコト足りるのですが、全体的な作業には、反対側も上げたくなります。よって作業内容により、ウマ(ジャッキスタンド)も併用し車を持ち上げました。(今見るとこの写真、かなり危険ですね。デフにしっかりジャッキヘッドが絡んでいません。よくこんなので作業してたな・・。反省・・・・。)
持ち上げてマフラーを見ますと、、、パイプ破断だけではない故障発見。サイレンサーを保持しているステーの半分が腐食して取れていました。これでは遅かれ早かれサイレンサー自体が取れて転がることは必至です。
反対側はボルトが朽ちている程度で大きな問題なし。
この錆び錆びのパイプの先端が、車両本体側のセンターパイプにつながっています。ただしこれも非常にもろくなっていて、いつ破断しても不思議がないほど。
というわけで、どう考えても修理不能だったので、この部分、つまりマフラーのリアピース(テールパイプ+サイレンサー+センターパイプの一部)を購入しました。純正と同等(と説明されていた)国産品(13,000円程)です。それにしてもこんな形で送られて来るんですね・・・。
純正品でないとしても、丁寧に作ってありました。
対応車種が多数書いてありますが、適合には注意が必要です。というのも「パジェロミニ H58A型」といっても様々な型があり、適合の可否があるようです。購入の際は、販売店さんに車台番号、形式指定番号、類別区分番号の3種のデータをお知らせし、適合を確認すると安心です。
というわけで、古いサイレンサーを外しました。
無残にも破断したサイレンサー(通称タイコ)とセンターパイプ接続面。
古いサイレンサー(メインマフラー)は、本体側のパイプが破断しているので、車体とつながっているのは、マフラーハンガーの吊りゴム2箇所だけ。ここの2本のボルトを何とか回すとすんなり外れました。またセンターパイプ部はサイレンサーと腐食して切れているものの、本体側にはつながっています。 この写真は新品と腐食破断したリアピースです。
ここで改めて、車体に残っている部分を見ます。パイプは腐食して切断されてしまったので、センターパイプ接合部には、リアピースのフランジが本体側に残ったままになってしまいました!
このスプリングボルトを外さないと、接続ができないのですが、腐食が激しすぎて、このボルトの攻略は・・・非常に難しいです!
でも、これを何とかしなくては先に進みません。いろいろ悩みながら試行錯誤は続きます・・・。
写真中央の「パイプの先についている2重の板状の部品」が本来リアピースとセンターパイプをつないでいる接合部分(フランジ)です。この部分が振動があっても排気が漏れないように球形の受けになっており、それをスプリングのついたボルトでつないでいるのでこんな形状になっています。購入したリアピースを接続するためには、ここの部分の一枚だけを外す必要がありますが、ここのボルトがどうしても抜けません。パイプが破断するくらいですので、ボルト自体も原型をとどめないほど腐食しており、回す以前の問題でした。
悩んだ末、強引に分離しようと、電動グラインダーを使おうとしましたが場所が良くなくて、うまく切断できません。
(技術が未熟なためもありますが(笑))
この部分を詳しく見てみましょう。スプリングボルトがついているのが本体側のセンターパイプの球形フランジ。パイプは破断したリアピース側のパイプです。購入したリアピースを接続するためには、見えているボルトを回し、この板状になっている1枚だけを外す必要があるのですが、なかなか外せません。
そうこうしているうちに、第二の悲劇が起こりました!
上記ボルトを外そうと、あれやこれやいじっているうちに、エンジンに近い側の2番目のマフラー部品、キャタライザー(触媒)(サブマフラーか?)の接合部分も破断してしまいました!!
・・・多少無理な力をかけたかもしれませんが、破断部分を見るとものすごく腐食していました。「これは・・・仕方がない・・・寿命だったんだ」と思い、仕方なく、センターパイプも注文することにしました。
センターパイプ・マフラーは数日で届きました。
「お安く買った車なのに、何やってんだ?オレ」と、次々に購入品が増えていく悲しい現実に、安い車だからこそ腐食してしまっている、という事実を改めて思い出してしまった今日この頃。
これにも様々な型があり、ショップの方と情報をやりとりして購入しました。同じく”純正と同等品の国産品”で送料込みで30,000円弱。ついでながらと、必要になるであろう新しいガスケットや球型フランジの受け、スプリングボルトも用意しました。
そもそも、パジェミニのエンジン形式は、「4A30」型 659cc 直列4気筒のはずなのですが、同じ4A30であっても、SOHCなのか、DOHCなのか、NAなのか、インタークーラー付きターボなのかという区別が加わり、複雑怪奇なことになっているそうです。自分のはDOHC16バルブインタークーラーターボの4A30らしいです。
というわけで、購入したリアピースとセンターマフラー。サイレンサー部は、お遊びで耐熱・防さび塗料を塗ってしまいました。一応ステンレスらしいので不要っちゃ不要なのですが、手元にあったのでつい塗ってしまいました。
センターマフラーは、本体と1箇所のマフラーハンガーの吊りゴムでつながっています。ここのボルトは腐食しておらず、すんなり外すことができましたが・・・・。
次なる関門は、ここの「センターパイプ」とエンジンから来る「エキゾーストパイプ」の接合フランジの分離です。どうみても、今までと違った意味で強烈に錆びて朽ち落ちているのですが、この錆び錆びの2枚の板のようなフランジを分離し、この切断面を平滑にしないとセンターパイプが接続できません!
朽ちたボルトは、CRC-556などを大量に塗布し、ガスバーナーであぶってから回す、など様々なことをやってみましたが、ビクともしません。
ちなみに、この時点でマフラー修理を始めて3週間がすぎていました。自分が車いじりに動けるのは週末のみ、しかも数時間だけなので週末の度に「車を上げて、症状を確認し、部品を注文し・・・」を繰り返していたのですが次々に問題が起こり前に進みません。
なお、この頃になると、我が家の最高権力者(妻とも言います)が「いつまで車で遊んでいるの?」「こうなるんだったら、最初から車屋さんに持っていけばよかったんじゃない?」ということを言い始めます。
確かにサ、自分でもそう思うんだけどサ、やり始めてしまったからなぁ・・・。
・・と、いろいろやってみましたが埒が明かないので、方針変更です。
「よし、こうなれば切断!」 と用意したのが、先にも登場した100mmのディスクグラインダ。こいつで強制的に切ることにしました。
こんな感じでこの腐食・固着したボルトを切断し、なんとかこの部分を切り離します(さすがに作業中は撮影することができず、盛大な火花のシーンのショットはありません)
左側がセンターパイプ、右側がエンジンから来るエキゾーストパイプです。センターパイプはすでに代替新品があるので切断してもいいのですが、右側のものは生かしたいと思っています。そして、厚い板のようになっているのが、2本を接続しているフランジ。密接しているので、ここの部分は板状のガスケットが挟まって固定されているのでしょう。この2枚の厚い部品を切り離したいのです。2本のボルトでつながっているだけなのですが、ボルト自身が錆びて朽ちているので、フランジを傷つけないようにボルトだけを力ずくで切断することにしました。なお、写真真ん中のものはマイナスドライバー。片方のボルトを8割がた切ったあと、ドライバーでツンツンしてみているところです。
そして・・・。反対のボルトも高速回転するグラインダーによって、強制的に切断し、見事に両者を分離することができました!!ぱちぱち・・・と言いたいところですが、切断面を改めて見て、絶望します。写真はエンジンから来る最初のパイプ、エキゾーストパイプの先端部分なのですが、ここは、「M8(径8mm)のボルトが通る2つの穴があいてなければならない」ところなのです。しかし現実は写真の通り「無様な形で、不要な腐食した長いボルトが固着している」のです。
上と同じエキゾーストパイプ先端のフランジ部分。穴が開いていなければならない場所に、錆びたボルトが、しかも前後はみ出してしっかりと残っています! というのも、購入したセンターパイプのエキゾーストパイプ接続部には、すでにあたらしい長いボルト部がしっかり溶接されており(オス側)、これを接続するためには、エキゾーストパイプ側に穴があり、そこを通す(メス側)必要がどうしてもありました。
この板状のフランジにセンターパイプからのボルトを通す穴が開かなければセンターパイプを接続することができません。・・どうしよう・・・。
朽ちたセンターパイプ周辺部品。接続部分にボルトを残したとしても、マフラー本体自体は、取り外すことができました。強制的に切断したからですが・・・。
新旧リアピース並べたところ。
新旧リアピースと、センターパイプ。センターパイプが接続できなければ当然リアピースも接続できません。
えっと、えっと、どうしよう・・・・。
「エンジンに一番近いエキゾーストパイプ先端に不要なボルトが刺さったまま抜けない」ということなので、「エキゾーストパイプ自体を取り替えてしまうことが可能では」と考えました。写真がエキゾーストパイプを固定しているボルトです。ここはエンジンのエキゾーストマニホールドから出た排気を直に受ける場所で、12mmのスプリングボルト2本で固定してありました。
「要するにこれが取れれば、エキゾーストパイプが取れるんだろ?」と考え、潤滑剤攻撃をはじめ、様々な方法で回そうとしましたが、ちっとも取れません。センターパイプとのフランジに比べると腐食も少なく、錆びの影響も少なそうに見えるのですが、どうしても取れませんでした。
改めて作戦を確認。ここで残された方法は次の2択です。
①エキゾーストパイプの、センターパイプとの接合部のフランジを、グラインダーでボルト前後の部分を削り落とし、中心部分をドリルで穴を開ける(新しい穴を穿孔する)。
②新しいエキゾーストパイプを用意し、取り替える。ただしそのためには、現行のエキゾーストパイプを止めている2本のボルトを回さなくてはならない・・・。
どちらも大変ではありますが、とりあえず両方同時にやっていくことに。まずエキゾーストパイプをネットで探すと中古品が4000円ほどだったのでそれを注文しつつ、①のフランジ平滑&穴あけも挑戦してみることにしました。インパクト電動ドリルでやってみましたが、ビクともしないのでより強力なAC駆動のドリルなども用意しました。
ボルトの残骸を削るのは、時間をかければそこそこ上手にできました。問題はボルトが通る部分の穿孔。金属用のドリル歯で穴を開けていこうとしましたが、フランジ厚も5mmほどあり、その部分に穿孔するのは容易ではありません。何度も挑戦しましたが、自分の手持ちの工具と技術では無理でした。写真は、穿孔に挑戦したフランジです。ひし形のフランジにある左右2箇所の色が変わっている穴(おそらく内径8mmほどの穴)がボルトの残骸が収まっている部分です。この銀色の部分をすべて取り除くことができれば・・とやってみたのです。
というわけで、穴が開く前に、注文したエキゾーストパイプだ届きました。パジェミニのマフラーは主に3つの部品でできているのですが、このパイプだけは腐食しているわけでもないのに取り替えるなんて・・・ごめんなさい、中古だから許して・・と妙な罪悪感にかられました。
よし、あとはエキゾーストパイプの接合部分のボルトをとるだけです!
そこで、絶対にボルトを取るために以前から温めていた手段を取ることにしました。
悩んだ結果(これを言い訳に)前から欲しかった電動インパクトレンチを買うことにしました。どうせ買うなら「しっかりしたものを」と選んだのがマキタの18Vの中級モデルTW700DZ。本体3万円弱、バッテリー1.5万円/本となかなかの出費ですが、最大締付けトルク:600N・m。回転数(min-1):0~2,200。打撃数(min-1)[回/分]:0~2,700はさすがでした。
そして・・・。
目的のボルトをバーナーで3分以上あぶった後、これでインパクト攻撃をしたら・・なんと数十秒でボルトが取れたではありませんか!うれしさ半分、「自分の今までの苦労はなんだったんだ?」と虚しさ半分(?)の瞬間でした。
これで、全部のマフラーが取れました! もうあとは簡単です。ここまでの経過で構造を熟知してしまったので、手際よく新品を取り付けていきました。ガスケット、球形フランジ、写真のようなスプリングボルトなど、周辺部品も適切に取り替え、問題なく新しいマフラーを組みなおすことができました。
新旧のマフラー全体写真です。上が新品、下が従来のものです。
これでようやく、きちんとした静かな車になりました。
たかがマフラー交換、されどマフラー交換。取れない朽ちたボルトに苦しんだだけですが、振り返ると十分楽しい時間でした。