Mercerdes-Benz E320 Wagon 4matic(S210)
E320のステーションワゴン。W210系と呼ばれるEクラスです。先代EクラスW124に比べ、内容もデザインも良い意味でも悪い意味でも一新されたモデルです。安全装備や電子機器を増加したプラス面もありますが、ハンドリングや品質は明らかに先代の方が上、という人も多く、評価が分かれています。確かにW124に比べれば「・・・言いたいことは分かる。走りもハンドリングも『古き良き欧州車』という感じが無くなって、(悪く言えば)『大きな日本車』というような走りだもんな」という印象を持ちます。ただし条件にあったモデルはこれしかなく、良い選択だったなと考えています。「長距離を快適で高速で移動する手段としての車」とすればとても良い車だと思います。
正面から。W210型の後期型です。前期にくらべ、V型エンジン用にボンネットを低くするなど大きな改良を加えていて、印象が変化しました。
色はブリリアントシルバー。最近はフィアンホワイトなる白系も人気なのですが、シルバーというのはメルセデスにとって非常に大切な色で「いつかはシルバーのメルセデスに乗りたい」と考えていました。
というのも1934年のフォーミュラカー選手権で、W25というモデルが750kgという重量規制を1kg超えてしまった時、白い塗装を剥いでアルミの地金を出してなんとか車検を通りレースに出場したところ、優勝した、というエピソードがあります。詳しく文献を読むと多少疑問に残る点もあるようですが、いずれにせよジルバー・プファイル (独語:Silberpfeil) 、シルバー・アロー (Silver arrow)という伝説から、メルセデスにとってシルバーは特別な存在であることは確かです。
全長全長4,840mm.
全幅1,820mm
全高1,520mm.
ホイールベース 2,835mm。
いろいろマイナス評価もあるW210系ですが、実際に走ると「快適」の一言です。特に高速道路の長距離移動などはものすごく楽。どんな速度域でも高速でも安定した走りと直進性で文句なしの走行性能。適度な硬さで自在に動くシートの作りもよく、個人的にはレクサス・クラウン系よりも快適に感じます。
このカーゴルームはとても広大で、後部座席を倒すとタタミがそのまま入るほどの大きさです。
メルセデスに乗り換えて、初めての印象は「非常に取り回しの良い車」でした。最小回転半径が、5.2mというのは、全長4.8mの車にとってはウソのような小ささで、狭い道も気兼ねなく行けます。BMWは最小回転半径の小ささにはこだわっていない気がするので、この点はメルセデスのアドバンテージかもしれません。こだわりのポイントがちがうだけですが。
全幅は1.8mのクラウンサイズ。日本の道路事情からするとやや大きめではありますが、駐車場など日常生活で困ることはないサイズです。
さて、エンジンをみてみましょう。3.2L V6のエンジンがおさめられているボンネットを開けた図です。メルセデスお約束のグリル一体型のボンネットフードを開けると・・・・。
3.2L V6 エンジン。正式なエンジンコードは M112.941.M112系のなかでもE32と呼ばれるものです。メルセデスの初めてのV6でボア89.9 mm×ストローク84 mm。出力は315 Nm(232 ft.lbf).224 hp (165 kW)。このAMGバージョンになるとIHIの過給機などをつけて332 ft.lbf(450 Nm)/354 hp(260 kW)というとんでもないものになります。
安定して回転し、静寂性もあり、なかなか快適なエンジンです。
ちなみにこのエンジンを使った車種として、同世代のC320.G320.S320.ML320.CLK320. SLK320などがあります。ちなみに当時提携していたクライスラーのクロスファイアなどもこのエンジンを積んでいました。
メーターです。左から水温計、燃料計、速度計、回転計。決して悪くはないのですが、もうすこしこだわってほしいと感じてしまうデザイン・・。
速度計の様子。センターディスプレイに、エンジン始動からの時間と距離、平均速度と平均燃費が表示されます。
運転席周り。本革が基本ですが、日本車に比べればシンプルなデザイン。
インパネセンターの様子。今から見れば古い感じですが、この時代のメルセデスの作りはこんな感じが多かったように思います。ハザードスイッチの両側にある長いスイッチは左から、運転席シートヒーター、ヘッドライトウオッシャー、リアワイパー、(ハザード)、キーロック、助手席シートヒーターです。日本車や他の欧州車と違い、「ハンドル回りのスイッチはできるだけシンプルに」という哲学を持つメルセデスですので、リアワイパースイッチがここにきています。
輸入車のお約束「超使いにい純正ナビ」でしたので、安いナビを外付けしてみました。個人的にはこれで十分です。
ハンドル回りです。ハンドルにあるスイッチはインパネ上のディスプレイ表示切り替えと、オーディオ等のトラック、音量スイッチなど。
右側の丸いスイッチがこれも輸入車のお約束、インパネ横にあるヘッドライトスイッチです。BMWなどはこの付近に「フォグランプ」「リアフォグランプ」スイッチを付けるのですが、このこんなところにも「操作系は単純に」というメルセデス哲学が見えます。この丸いスイッチを引くとフォグランプが、さらに引くとリアフォグが点灯する優れ物スイッチです。ちなみ、左はパワーシートとステアリングの操作系ですが、これも実際の形になっていて操作に悩みません。このハンドルの形のスイッチを動かすと上下・前後に移動しますし、ヘッドレストすらこれで動きます。
自分でETCを付けたのですが、その際の電源取り出しの様子です。センターコンソールのDC12Vにアクセスするためにシフトレバー周辺をごそごそしている様子。
雪に備え、タイヤ交換の様子です。
BMW325iでも紹介しましたが、ビルシュタイン製のジャッキです。慣れてしまえば非常に手軽で、確実な方法だと感じています。
サスペンション形式は、前輪がダブルウィッシュボーンで後輪がマルチリンク です。本当はいろいろいじってみたいのですが、費用と時間がなくそこまで手が回りません。純正でも十分快適ですし。
欧州車の基本、ボルトで締めるホイールです。取りつけ時が楽になるようにボルト穴のガイドが車体に付属していました。
やっぱり4ドアは楽です。とくにチビがいる家庭には必須。
チビの自転車を2台積み込んで公園へ、の図。
このW210系のワゴンは荷室が広く、席が3列設置できそうな程なのですが、実際に前期モデルは荷物室に3列目のシートが格納されていました。ただしあまり実用的でなかったということで、後期モデルには廃止されその代わりにこんな収納スペースになっています。ないよりましですが、深さ20cmほどで「うーん、何に使えばいいんだろう」という感じでした。
アバンギャルドavantgarde という基本装備が多いグレードですのでサンルーフがついています。トップはスモークガラスですが、その下に(手動)のサンシェードがついています。
サンルーフがついていても、走行中に顔を出すわけにもいかないので、それほど使用頻度が高いわけでもありません。洗車の時にチビが顔を出して遊ぶ程度です(笑)。
ドイツの国内法によって、ファーストエイドキットと非常用三画板がリアサイドに収められています。ちなみに12連装のCDチェンジャー(パナソニック製)もここにあります。
4駆の証、4MATIC。W210はセダンも4MATICが比較的売れていました。
アバンギャルドavantgarde はフランス語で前衛部隊を意味する言葉ですが、本革を始め様々な装備がついているグレード名として使用されています。本国ではもっと安価なグレードもあり、タクシーで使っているくらいなのですが、日本ではブランドコントロールの関係で、廉価グレードが輸入されず、個人的にはとても残念です。
おまけ。BMW 325iと並べてみました。
おまけその2。妻のCR-Vと。新車で購入し長らく乗っていましたが、「子どもは二人いて3列シートの車が欲しいのに、パパは変な車ばかり乗っていてこまる・・」と諦めていただき、結果的にトヨタ・ノアを購入しました。確かに自分は変な車を喜んで買ってしまう困り者!なのですが、家族はまともなので、維持費や故障を考え、国産車を新車で買っています。ちなみに購入交渉やメンテは私が行うので、国産車のディーラーさんとも仲良しです。
ナンバープレートを外し、ユーロプレートだけで撮ってみました。すごくかっこいいのですが、正規輸入車ですので、よく見るとバンパー形状が日本対応になっているのはさすがメルセデス日本。
「陸・海・空を制する」というメルセデスのエンブレム、スリーポインテッドスター。ボンネット上のこのマスコットは衝突時歩行者に危害がいかないように自由に動くようになっており、全方向に簡単に動きます。自動で元に戻らないので、変な位置のまま走っていることも良くあります。
・・・と、それなりに気にいって乗っていたのですが、自分の海外赴任が決まり、家族と協議の結果、一度、全ての車を手放すことにしました。確かに何年も乗らなければ、税金や自賠責の負担だけでなく、各種部品、油脂、ゴムも劣化しますし・・・。