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海外でのレンタカーの使い方

自分が、かつてまともな(?)バックパッカーだった時は、「旅先では公共交通機関で動くのが当たり前。それがダメなら徒歩移動。タクシーなんてものも論外」みたいな気概で旅していたのですが、時と共に、時間に余裕がなくなり、同行人が増え、しかも同行人がちびっこたちと来ると、まるで国内旅行のように「やはり車は楽だねぇ・・・」と気軽に車を使う人になってしまいました。「気合が足りない」とか「それでも個人旅行か」とか言われそうですが、時間が惜しい現代日本人として、必要に応じて手段を分けているだけ、と勝手に思っています。 ということで、「外国で車を使うためにはなにをすればいいのか」について実体験を基に紹介しましょう。

 

段階 項目 内容

準備
まず最初に
どこの国の、どの場所を走るのか、どこに行きたいのか、ある程度のプランを立てましょう。「自由気ままに動ける」のが、車を借りる最大のメリットですが、レンタカーの場合は、借りる日数や走行距離により、かなり事情が変わってきます。ぜひ事前にある程度の計画をたてましょう。
予約する際に必要なこと
予約を始める前に以下の内容は決める必要があります。@乗りだし開始日、A返却日、B乗りだし地、C返却地、D想定される走行距離、E希望車種クラス・・・などです。この時点でWebをフル活用し、乗り出し・返却地予定地の具体的な営業所まで確認しましょう。そして、「営業時間」の確認も重要です。
準備するもの
@国際運転免許証、A日本の運転免許証、Bクレジットカード、C当然ながらパスポート ととりあえずこの4つが必須です。そうそうアメリカ以外は「マニュアル車が基本」というところも多いので、できれば「オートマ限定免許」でないほうが良いです。ただし、最近は高級車を中心にAT車のレンタカーも増えてきたので、お金で解決できるようになりました。
国際運転免許証
国際運転免許
1年以上有効な運転免許を持っていれば取得は簡単。指定サイズの写真と手数料があれば、お近くの免許センターなどに行くと1時間ほどで作ってくれます。ネットで検索し、確認してみてください。ただし問題は2点。「@有効期限が1年間と短い」こと。すぐ切れてしまうのでご注意を。そして「A使えない国があるということ」。実は国際運転免許の規格は「ジュネーヴ交通条約」「ウイーン交通条約」の2種類があり、日本はその片方の「ジュネーヴ交通条約」しか批准していないのです。よって、ウイーン交通条約しか加盟していない国では日本発行の国際運転免許が無効になる、というわけです。ただし、場合によっては(ドイツなど)特例として日本発行の国際運転免許が有効になる場合もありますので、ご確認を。
 ちなみにジュネーブ条約は1952 年 3 月 26 日発効。ウィーン条約1977 年 5 月 21 日発効ですので、ウィーン交通条約はジュネーヴ交通条約を発展せたものともいえます。日本はウィーン条約に署名したのですが、批准していませんので、こういう状況になっています。これだけ国際的な動きが活発な時代ですから、日本も批准する方向に話が行けばいいのですが・・・。
クレジットカード
海外でのクレジットカードの有用性は言うに及ばす。特に個人旅行なら必須の上にも必須のアイテムです。そしてできれば、というより必ず2種類以上は必要です。ブランドはやはりVISAとMasterが良いですね。地域にもよりますが、AMEXは途上国では弱く、JCBは日本と円が薄い国々では見向きもされません。また、先進国でない国に行く場合は、できれば信用力の高いカードがあると確実です。具体的には「銀行系発行カード」「ゴールドまたはプラチナカード」などです。
 自分の一例をあげますと、南米アルゼンチンの田舎、テレレウという場所でレンタカーを借りようと思いました。web上では空港内に、Hartzの営業所があったので、何度かメールをやり取りした後、予約をしました。さて実際に行き借り出し手続きをしていたのですが、その途中で窓口氏が「カードの認証が通らない」と困った顔をしています。聞きますと、ここの営業所では、クレジットカードで、まず日本円で20万円分のデポジット(預かり金)を落とせることを確認してから貸し出すとのこと。手元には、日本発行、アメリカ発行、そしてゴールドカードを含め各種6枚ほどあったのですが、どれも通りませんでした。後日確認すると「アルゼンチンの怪しい店で大金を使おうとしているのでブロックした」とカード会社が認識したようですが、とにかくそこでは借りられませんでした。結局、その隣のブースにあった地元のレンタカー屋のおやじさんを紹介してもらって事なきをえましたが、場所によってはこんなこともあるのでご注意を。
予約
今の時代、やはりネットをフル活用しましょう。検索をし、目当ての営業所を探し、日時・時間などを慎重に入力しながら予約をしましょう。支払方法(通貨単位)の確認も忘れずに。そしてすべてが終わったら、全データを保存しておきます。自分はやり取りしたメール、頂いた予約確認書(pdf)なども、まず全てをファイルに取っておきます。そしてそれらの多くを紙に印刷して残し、そしてファイルも残し持参するPCに保存しておきます。そうそう、メールなどは保存がしにくいので「プリンタドライバ仕様のPDF変換フリ―ソフト」を使って、全てPDFにして保存しておきます。こうすることにより、オフラインのときでも関係するデータが全て確認できる状態になります。(実際に、PCの画面を係員のお兄さんに見せて、手続きをしてもらったこともありました。)
当たり前ですが、個人旅行は全ての責任を自分が負います。どんな状況にあっても、データを確認でき、トラブルに対応できるように、できる準備は万全にしておく必要があると思っています。
あると便利なもの
個人的には様々なものを持参することも多いです。例えば、地図、ポータブルナビ(もちろんその国で使用可能であり、地図が入っていれば)、ドライブレコーダ―、DC3連ソケット、BGM用CD(および同内容のSDカード、USB)、DC-ACコンバーター、ミニノートPC、タブレットPC(DVDプレーヤー)、捨てても良い用のタオル、液体ワイパー などなど・・・。
2
借り出し
空港に着く前に
着陸前に、予約確認書を再度読んで確認をします。空港外に営業所がある場合は、そこまでの大まかな距離と交通手段を考えます。また、無事に借りられたとしても、その後、まずどこに向かうのか、およそどの方向なのか、どんな地名を目指していけばいいのか、地図があればそれで確認します。またこの空港内でやっておかなければならないことがないか、再度確認します(具体的には次の便のリコンファームや、両替。旅行者案内所での確認事項の有無など)
営業所に着いたら
入国審査・検疫・税関などを済ませ、レンタカーオフィスに向かいます。笑顔で挨拶してから、必要書類一式と予約確認書を出し、借り出し手続きを行います。
メキシコ・カンクン空港のAVISオフィス
ポイント
ここで確認しなくてはならないのは、「@各種条件」「A保険」「B最終連絡先」です。@の条件とは、走行距離に制限はあるのか、満タン返しなのか、返却は何時にどこなのか、など、心配なことは全て確認しましょう。A保険については、最初の提示額になく、思わぬ出費と感じることも多いのですが、加入をオススメします。LDW/CDW(車両損害保険)だの、PAI(搭乗者保険)だの聞いたこともないような言葉が多数出てきますが、よほど慣れている方なら別として、基本的に加入しておいたほうが良いと思います。B最終連絡先は、万が一、事故が起こったとき、または盗難など事件が起こった時の連絡先です。車両盗難が心配な国など、それが書かれた紙はできれば車両とは別にしておいた方が、良い場合も多くあります。
できれば
経験上、車の借り出しには1時間弱程度はかかるのが普通です。係員のお兄さんは、こちらの氏名、住所、その他の情報を端末に入力し、お金の計算もしているので、それなりの時間がかかるわけです。そんな時、もしできればいろいろな雑談をしておくといいですね。具体的には「燃料の種類」「燃料の呼び方」「ガソリンスタンドはフルサービスなのか、セルフなのか」など。重要な交通法規の相違については、教えてくれませんが(というか、日本の法規を知らないので比べようがない)、ガソリンなどについてはしっかり教えてくれます。また、「高速道路の走り方(料金の払い方)」や、「市街地への行きかた」も是非聞いておきましょう。

運転中に
確認を!
事務手続きが終わると、別の人が車まで案内してくれます。またはミニバンに乗って離れた営業所に連れて行かれる場合もありますし、少し離れた駐車場に自分で歩いて行け、と言われる場合もあります。車に着き、鍵を渡されたら、事前についている傷について確認を求められます。それでOKをだせば、「いってらっしゃい」となるわけですが、ここで忘れずに質問を。@返却の場所と方法、A市街地への方向と行きかたです。先ほどの窓口氏にも聞いているわけですが、この現場で聞けばより確実になります。
乗りだす前に
さあ、いよいよ出発。ついすぐに動かしてしまいたくなるのですが、この車は借り物。しかも全く知らない外国を走るわけなので、やはり準備をしましょう。もしナビがあればそれをセットし、地図を見やすい場所に出し、目的地の住所を確認して、荷物をきちんとしまい、そして、車の各種装置(特にウインカーとワイパー、パーキングブレーキの位置)を確認して、イスとミラーを調節し、本当にOKであれば出発します。書くと煩雑に感じますが、慣れれば、ほんの数分の出来事です。
操作系の相違を確認
日本国内で輸入車に乗っている方はご存知ですが、実は細かな操作系がメーカーによってかなり違います。これは外国車が変なのではなく、完全に統一されている日本車がすごいのですが、とにかくいろいろがかなり違います。例をあげればきりがないのですが、例えば欧州車のヘッドライトスイッチは完全に別のところに着いているのが基本です。またマニュアル車の場合、リバースに入れるときに誤動作防止スイッチを押しながら入れないとバックギヤに入らないものもあります。また、クラクションがワイパーレバーを手前に引くことで鳴ったり、そもそも欧州車のタイヤはナットで留めなくて、ボルトで留めてあるとか・・・・。枚挙に暇はありませんが、走り出してからあせらないように、日本車以外の車の操作系・構造についてある程度の知識は持っていると安心です。詳しくはこのサイトの「日本車と外国車のちがい」を参照。
日本車と外国車のちがいの例 BMW X5(E70)の右ハンドル車
運転中に気をつけること

もう、乗りだしてしまえばこっちのもの・・・ではなく、慣れるまでは慎重な上にも慎重さが必要です。特に気にしたいのが「交通法規」「交通マナー」の違いです。ありがちなのが「昼間点灯が義務化」「右折は常時可」「ロータリーは先行車優先」など日本とは異なるルールがあり、注意が必要です。
燃料補給
どうしてもやらなくてはならないのが燃料補給。短期のレンタルであっても、「満タン返し」がレンタカーの基本です。そこでガソリンスタンドで給油しなくてはならないのですが、これもまた、国によってシステムが違います。とは言っても「@フルサービスがセルフサービスかを見分けて」「A燃料の種類を指定し」「B給油量を指定し」「C代金を支払う」だけです。初めての国で初めての給油時はちょっとドキドキしますが、なんてったて「ガソリンスタンドに車が来てガソリンを入れてほしい」という状態であれば、店員さんも言葉がなくても理解してくれます。とにかく分からないことがあれば店員さんに聞くしかありません。経験上99%の確率で丁寧に教えてくれます。
重要なローカルルールを確認しよう
例えばボリビアの首都ラパスは都市圏の渋滞緩和のために、ナンバープレートの末尾によって市内を走れる日が決まっています。ブラジル・サンパウロもそうです。また、シンガポールのERPやロンドンのCongestion Chargeなど、各都市の重要な規制やルールなども確認しておく必要があるでしょう。
車内はきれいに
ついつい、自分の家のようにリラックスして、散らかりやすくなる車内ですが、いずれ返却しなくてはならない車だからこそ、車内をきれいにしておくとトラブルが減ります。オススメはホテルなどに着いたときに、毎回きちんと掃除をしておくことです。これで落し物や忘れ物の心配がぐっと減ります。
高速道路
空港と市街地は高速道路で結ばれている場合が非常に多く、高速道路の走行はある意味必須でしょう。高速慮金も無料の街も多いのですが、問題はその徴収方法。基本は現金でOKなのですが、両替したばっかりで小銭がなかったりすると面倒です。日本の高速もETCが基本になりつつあるように、各国で料金の自動徴収システムが整備されつつあるので、旅行者にとってはそれも障害の一つです。借り出す時にしっかり聞くのが良いと思います。
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返却
余裕を持って
返却ですが、この処理に時間がかかる場合もあります。問題がなければ5分程度で終わることもありますが、係員がいなかったり、事務所が処理に戸惑っていたりするとかなり待たされることもあります。空港に帰す時など、飛行機の時間が迫っている場合もあるので、時間の余裕は十分にみておきましょう。
出発時に確認
同じ場所に返す場合など、ガソリンスタンドは出発時に「ここにあるな」と至近のものを確認しておくと良いでしょう。また時間帯によっては閉まっていることもあるので、できれば複数確認しておくと良いと思います。
忘れ物チェック
車を返す時、とにかく車内の隅々まで確認しましょう。自分はかなり気をつけている方ですが、それでも5回に1回は「あ、後部座席のドアポケットに地図を忘れた!」ということがあります。グローブボックス内、センターコンソール内はもちろん、前後のドアポケットなど隅々までチェックすることが大切です。
係員のおじさんと
たいていは係員のおじさんを呼び、書類を出すと、走行距離や燃料残量をチェックし、外見の傷を確認すれば、サインをして、はい終わり。その時に総支払額を確認しましょう。そうそうおじさんにチップをあげるのを忘れずに(日本人は渡さない人も多いのですが、渡した方がいい国がほとんどです・・・)。

 

旅の技術