ブラジルの運転免許を運転取得 

  • これがブラジルの運転免許証。薄い厚紙でできています。実際はこれを半分に折りたたんで (クレジットカード程度の)カードサイズにして持ち運びます。この免許のすごいのは、「南米はほぼこれだけで運転ができること」。あるときアルゼンチンで、ふと車を運転したくなったのですが、この免許だけでそのまま車を貸してくれました。もっというと正式には全くだめなはずのメキシコでも、この免許だけで車を貸してもらえました。スペイン語圏でポルトガル語の免許がOKということです。また、ブラジルでは全員が常時身分証明書の携帯が義務付けられているのですが、どんな書類よりも、これを提示したほうが簡単で通りが良かったです。そんな意味でもあると便利なのが運転免許ですが、この取得が、実に大変なものでした。
  • とにかく政府の手続きがやっかいなのです。しかも自分たちは適当なのに、国民の不備に対しては厳しく対応するので面倒このうえなし。それが途上国と言えば途上国たる所以の気もしますが、運転免許取得までにとにかく様々な書類を必要とされるのですが、それがなかなか発行されないのです。まず最初の難問が外国人登録をして、外国人登録番号RNE :Registro Nacional de Estrangeiros を取得し、外国人登録証Cedula de identedade de estrangeiro を取得する必要があります。
  • そもそも、ブラジルと言う国は、日本人が観光で訪れようとしても、未だに厳格なビザを要求する国です。ましてや居住するとなると、それはそれでめんどくさい手続きが必要になります。仮にビザが取得できて入国できたとしても、今度は、入国から30日以内に最寄りの連邦警察Policia Federalへ行き、外国人登録をしなけばなりません。そこで在留ビザとは別に、外国人登録証を取得しないと、逮捕される、といことです。写真は、困難の末に取得したRNE :Registro Nacional de Estrangeirosが明記されている、Cedula de identedade de estrangeiro。これは顔写真が印刷されているプラスチックカードになっているのですが、これを得るまでに半年!かかります。さすがに半年もかかれば日常生活に支障がでるので、しばらくの間、単なる紙にシールをはっただけの仮認定証(プロトコール)で生活します。 


  • ここがサンパウロの連邦警察 Policia Federal。外国人なら全員行く場所です。
  • 正面入り口。
  • 内部の様子。書類や手続きに関しては厳しいけれども、実際には非常におおらかな(正確にいうと適当)な国なので、写真などを撮っていてもだれも決して言わないのですが、もしかすると撮影禁止なのかも・・。
  • 外国人登録を待っている様子。半日で解放されればいい方で、一日かかる場合も多いです。
  • ちなみに、ここでRNE :Registro Nacional de Estrangeirosを取得した後、別の書類を書いてCPFを取得します。CPF:Cadastro de Pessoas Fisicas とは、11ケタの納税者番号のことで、ブラジルで何か(ある程度高額なもの)を買うときには必ず要求される番号です。日本のマイナンバーの、超厳密なもの、みたいなものでしょうか?
  • さて、無事外国人登録RNEも取得し、納税者番号CPFも取得したら、免許まで少し先が見え始めます。自宅に公共料金の請求書などが来たらその封筒が住所証明になりますので、それを使います。 また同時に、運転に医学的な問題が無いか、専門の医師の所にいって検査をしてもらいます。場合によって筆記や問診もありますので、当然ポルトガル語の知識が要求されてしまう場面です。
  • それが終わったら、自動車学校に行き、実技の練習です。写真の車が教習車です。
  • 自動車学校と言っても、そんなにすごいものではありません。ほとんどは小さな部屋と一台の車があるだけ、というのがブラジルの自動車学校AUTO ESCOLA。要するに「練習コース」を持っているわけではなく、教習車+事務所が自動車学校なのです。練習コースは当然ながら、路上。実際は人通りが少なく、かつ強盗が出なさそうな路上で15分ほど練習をしただけでした。

 そしていよいよ試験本番。いろいろあってその写真は撮れませんでしたが、大きな公園の近くの路上で実技試験が行われました。大きな集会コースを一周する間に、車庫入れと縦列駐車を行うというもので、それほど難しくはないのですが、面接官の気分により一定数落とす、とのことです。試験の方法自体もかなりの頻度で突然変更されるなど、なんともグレーな香りがする制度でした。しかも裏金をしかるべきルートできちんと渡せば、何をしても落ちない、もっというと実技試験などもやらずに合格がもらえる・・・など怪しい話がてんこ盛りでした。

といろいろあって、数か月かかってやっと運転免許が取得できました。

  •  「たかが免許に数カ月?」と思われるかもしれませんが、これでもまだましな方で、例えばリオに住んでいる人の話を聞くと、手続きが煩雑で結局免許の取得を諦めている、と言っていました。
  • ブラジルの運転免許取得、かなり曲者です。

  • おまけ。連邦警察に行くと、いつも近くに装甲車風の現金輸送車が停まっています。治安は超最悪のブラジルですので、現金輸送車は完全武装のこんな車を使っています。この車に現金を運ぶ人達も常に3~4人組で、街中でもライフルの銃口を周囲にしっかりと向けながら!、サササっと行動しています。 最初見たときは度肝を抜かれましたが、現金輸送車が武装集団に攻撃されている報道はよくありますので本当に命がけの仕事になのでしょう。
  • この車が連邦警察の近くにいる理由は、連邦警察の中で、現金の処理をするようです。確かにこうでもしないと、建物ごと襲撃され丸ごと盗られると思うので必要な措置だと思いました。
  • とにかくブラジルの治安の悪さは、言葉では表現できません。もちろん居住している自分達にすぐに災難が降りかかるわけではありませんが、絶対条件として、銃が普及してしまっていること、麻薬が出回り過ぎていること、貧富の差が激しすぎること、政治や役人の腐敗も激しいこと、死刑はなく刑務所がいっぱいになってしまっていること、などが複雑にからみあって、かなり心配な状況になっていることは確かです。

     

    ブラジルでの運転免許証事情

     

    【報復措置】

    【報復措置】という言葉。当然聞いたことがあるし、意味を知っていても実際に日常生活でそれに遭遇することはないですよね。しかし、ブラジルで運転免許を取得しようとすると、まずぶち当たるのがこの「報復措置」なのです。

    具体的に言うと、今から・・10年以上前は、日本人がブラジルで運転免許を取得しようとすると、単なる書き換えの事務手続きだけで終了でした。しかし、現在はそれが認められておらず、「日本人がブラジルで運転するためには、ブラジルにおいてゼロから免許を取得する必要がある」と法改正されたのです。理由は日本がバブル経済だった時、ブラジルからたくさんの日系の方が来て、たくさんの交通事故&違反をされたようなのです。(確かにブラジルの運転のノリで日本を運転されたら絶対に事故するだろうなと思います)。

     というのもバブル初期のころは、日本で日系ブラジル人の方が運転するためには、ブラジルの運転免許の簡単な書き換えでOKだったようです。ところがあまりにも事故が続いたため、日本政府が「日本においてブラジルの運転免許は、書き換えでは対応できない。日系ブラジル人が運転する場合は(ゼロから)日本で運転免許を取得せよ」と法改正をしたそうです。これに怒ったブラジル政府は、報復措置として、ブラジル在住の日本人に対しても同様の措置をすることにしたそうです。

    ・・・という経緯があり、結局、ブラジルで日本人が運転する場合は、運転免許をゼロから取得する必要が出てきてしまったようです。