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　ハイファと西ガリラヤのバハーイー教聖地群
　Bahá’i Holy Places in Haifa and the Western Galilee

　ハイファと西ガリラヤのバハーイー教聖地群 　Bahá’i Holy Places in Haifa and the Western Galilee

　

筆者の主観的評価
オススメ度
初の新興宗教施設、という貴重な世界遺産です。
訪問のしやすさ
イスラエルの北部、ハイファ・アッコーまではそれなりに交通の便がいいのですが、そこからはタクシーなどを使えば行けそうです。バスなどはなさそうな感じもしましたが、都市部に近いのでなんとかなる気がします。
旅行環境整備
長らく迫害を受けていた新興宗教施設なのでだれもが自由に見学できる、というわけではありません。でも、全く開放していないわけでもなく、時間を決めて、案内ツアーをしてくれているようですので、そのタイミングさえ合えば、内部を見学することができるようです。ちなみに”無料”です。
総合評価

イスラム教の新興一派ということで、かなり迫害を受けてつづけた宗教のようです。庭園のつくりは非常に美しく、確かに世界遺産に値するものだと感じました。

 

【バハイー教について】
バハーイ教は成立して200年に満たない新しい宗教です。信者総数は500万人程度ですが、信仰共同体は世界236の国や地域に広がっており、これはカトリック教会に次いで世界2番目の規模ともいえます。
この宗教のはじまりの舞台は、19世紀半ばのイランです。イスラム教シーア派の民衆の間では、第12代イマームが「隠れて」からイスラム暦で千年を迎えることから、間もなく「隠れイマーム」が姿を現すという「再臨」の期待が高まっていたそうです。そのような背景から、預言者ムハンマドの血縁で、並はずれて優秀な学才、商才を誇り、人格者との誉れ高かったサイード・アリー・モハンマド（後に「バーブ」と称した）が人々の崇敬の対象となりました。1844年、そのバーブは神からの啓示を受けたと宣言し、多くのシーア派イスラム教徒がそれに従うようになりました。しかし、イスラム教指導者はこれを脅威と捉え、バーブを逮捕、拷問し、異端の咎で銃殺刑に処してしまいました。バーブの死語、その教えを体系化したのは、弟子のバハーオッラー（1817～92年）。バーブとともに投獄されたが、貴族の家系で宮中に縁故があったため、命は助けられました。しかし、ペルシャからは追放され、オスマン＝トルコ領内を転々とする亡命生活を送りましたが、1868年に現イスラエルのアッコーにたどり着きました。そして、この周辺にバハイー教の信仰の施設を建設していったそうです。
バハイー教の教義について、『世界宗教大辞典』（山折哲雄監修、平凡社）では、「すべての宗教の根源は1つであるとされ、人類の平和と統一を究極の目的とし、あらゆる偏見の除去、両性の平等、科学と宗教の調和が説かれ、諸宗教の要素を取り入れた普遍的新宗教」と説明されています。
【世界遺産について】
バハイー教の聖地群が世界遺産に登録されたのは2008年。登録されているのは、アッコーに残るバハーオッラーの廟、ハイファのカルメル山の斜面に作られたバーブの廟など26箇所です。カルメル山は、急な斜面全体が広大な庭園となっており、幾何学的に構成された植栽やテラスなどが、バハイ教のシンボルマークである九芒星をかたどった花壇などで装飾されています。

自分が訪問した場所は以下のところです。

以下の場所も有名です。ツアーなども行われているようです。

 

バハーウッラー廟 Shrine of Baha'u'llah　に行こう！
世界遺産であるアッコーから近い場所にあるバハーウッラー廟 Shrine of Baha'u'llah　まで行ってみましょう。
それらしい場所につきましたが、巨大な敷地で入り口がよくわかりません。
市内への案内板はありましたが・・
新興宗教施設であり、観光名所ではないので、宣伝のための案内板なども不要なのでこんな感じなのでしょう。
おお、入り口らしいものがありました。
閉まっていますが・・・
厳重な庭園、という感じです。
とにかく広大な敷地で、何とも言えない雰囲気
奥に入り口らしきものを発見！閉じていますが。
おお、解説版を発見！　真ん中は英語、両サイドにアラビア語とヘブライ語の解説があります（イラン発の宗教ですが、200年もたっているので、ペルシャ語ではないんですね・・・）
「Ｂａｈａ'i Gaedens」ここはバハーイ教の聖地です。すべての訪問者を歓迎します。聖地としてのマナーを求めます。禁煙。ガムをかまないこと。武器の禁止。盲導犬等はＯＫ。飲料水のみＯＫ。徒歩ツアーやアシスタントツアーの情報は
www.ganbahai.org.il または04-831-3131へ
開場時間　　廟　9時から12時（金曜日から月曜日）
庭園　9時から午後4時(水曜日から月曜日) 、正午から午後4時　木曜日 バハーイ教の祝日は閉鎖します。

 

内部の様子
自分がここを訪れたのは日曜日の10時ごろ。つまり、廟まで全て見学できる日だったのですが、あいにくの大雨。自分が到着した時、数人の見学希望者が受付で交渉していたのですが、結局入れてもらえていませんでした。「自分もダメかな？」と思いながら受付のお兄さんに話をして「ほんのわずか写真を撮る程度、見せてもらえませんか？」とお願いしたら、「奥まではいけないけど、良い？」と聞かれたので、「ハイ、ぜひ」と言ったら入れてくれました
入り口近くにあった看板「ウォークインツアースケジュール 土曜日の10：30～12：00頃　所要1時間15分のヘブライ語によるツアーを行います。
参加希望者は15分前までに登録を済ませること。無料で事前予約も不要です。 宗教施設ですので、肩が隠れる袖、くるぶしにかかるズボンを着用してください。
一般者見学時間　庭園　毎日9：00-16：00　 廟　金曜日から月曜非　9：00-12：00」
バハーイ教の廟と庭園について簡単に説明してあるものがありました。
英語とアラビア語とヘブライ語で「ここが、世界遺産に登録されたよー」という解説版
さて、庭園の様子を見ていきましょう。まずは、壺？よく見ると動物なども書いてあるようです。偶像崇拝禁止のオリジナルイスラム教とは全く違う世界観をもっていますね。
人口芝生と勘違いしてしまいそうに整えられている芝生。
一つ一つの造形が芸術のようです。
広大な敷地に、広大な庭園が続きます
何とも言えない世界観
こんなところも左右対称
そうなんです。バハーイ教の考えとして「左右対称」があります。だからここにあるすべての造形物はシンメトリーに形作られています。
コンクリートの建造物で作るならともかく、それを植物で実現しているとことにただただ驚きます。
自宅の庭木すらきちんと手入れできない自分にとっては奇跡のように感じます。
ワシ・・でしょうか？一応イスラム教の一派にはいるこの施設に生き物をかたどったものがあることが新鮮です。確かに バハーイ教は「ムハンマドをもってすべての宗教の預言者の封印とする」というイスラム教の教条的な解釈からすれば『異端』『悪魔の教え』『邪教』とみられても仕方なさそうです。
よって、この宗教は成立以来、スンナ派、シーア派を問わずイスラム原理主義者からは『カーフィル』『邪教徒』とすさまじい憎悪を浴びせられたそうです。そのためバハーイー教の歴史は当初からイスラム教徒による宗教的迫害が付きまとっていたとの話です。
たしかに、見るものすべてに、今まで見たことがない世界観がある気がします。
そうそう、左右対称という考えには「男女平等」という考え方もあるようです。「男尊女卑の考え方が強いイスラム教」・・なんて言うと怒られるかもしれませんがこれも男女を全く別のものとしてとらえるイスラム教の考え方とは真反対ですね。
「・・・不思議な空間だなぁ・・・」広い広い庭園をそんな思いで歩きました。
どうやったら、こんなきれいな形になるんだろう？
一糸乱れぬ砂利も、不思議なくらい・・。
巨大なマメ科の植物。絶対毎日、いろいろ落ちてくるはずなのに、それが地面に何もないことに、これを維持する途方もない努力を感じます。
上にも上れるんですね・・。
どんな風景なのか見てみたかった・・。
そうそう、見学中、ずっと係員さんがついていました。非常に寡黙な方で何も話しませんでしたので、こちらも何も質問しませんでした。彼が言葉を発したのは、園に入って15分ほど後、雨が強くなってきた時に「では、そろそろいいですか？」と言ったことだけです。
係員さんは何人もいたようです。
見学を終え、自分が受付を出たあと、数人にグループがやってきましたが、「今日はもう閉じました」と言っていました。看板に書いてあった時間とすれば開園している時間だったのですが、係員さんとすれば、入れたくない時は入れなくて良いような感じです。確かにここは宗教施設であって観光地ではなく、それを善意で公開しているだけですし、そもそも完全に無料ですし。大雨の中、短時間でも見せていただいたことに感謝し、次の目的地に向かいました・・・。

 

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