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アルゼンチンの世界遺産

 

ショートエッセイ【アルゼンチンの偽札】
南米に住んでいる自分は、アルゼンチンには何度か出かける機会があります。特に首都ブエノスアイレスは周辺国からのフライトも多く便利な所。日本から比べると確かに危険な部分はありますが、南米の他の場所から比べると治安も安定していてとても過ごしやすい街に感じています。ただしそこは南米。いろいろな失敗もありました。
あるとき、ふらっとアエロパルケ空港(AEP)に降り立ち、ブエノスの街を歩こうとしたとき、手持ちのアルゼンチンペソが無いことに気がつきました。この日は祝日で空港内に3カ所ある両替所も全て閉まっており、仕方ないのでとりあえずタクシーに乗りました。実際には両替所が閉まっていても、航空会社カウンターの会計で両替はしてくれるのですが、この時はそれも思いつかず、とりあえず市内に向かいました。さて中心部に着き、目当ての両替所を目指して歩いたのですが、どこの店も閉店中。仕方なく、近くの売店(キオスコ)のおばちゃんに、「近くに両替所はありますか?」と聞いてみました。初老のおばちゃんはニコっとた笑顔で「うちでやれるよ!」と返事しました。今から考えればその笑顔が問題だったのですが、とにかくおばちゃんは「うちでやってあげるからさ。いくらなんだい?」と聞いてきました。ちなみにレートを聞くとなかなか良い数字です。「じゃ、お願い」というと、店の奥に連れて行かれ、こそこそと米ドル現金とペソを交換してもらいました。
実は、これが間違いだったと気づいたのは夕方のタクシーの支払時。運転手の方に言われた金額を差し出すと、手触りを確かめ、一瞬のうちの「これは受け取れない・・・」と言われてしまいました。「え?なんで?」と聞き返すと、ためらった後「número(数字が)・・・」とだけ小声で言われ、だまってしまいました。仕方なく別の札を差し出すとすんなり受け取ってくれました。部屋に帰って、改めておばちゃんからの紙幣を見ると印刷も不鮮明な真っ赤な偽札でした!。タクシーの運転手が言った「数字」というのは、数字表記はいくつかのバージョンがあり、新しい数字フォントと古い数字フォントが混在している100ペソ札の中で、もらった札は古い数字フォントなのに使ったあとがなく、まるで新札の様だったので、怪しい、ということだったと気づきました。
外国人向けの偽札両替。本当に困ってしまいますが、不慣れな外国人が両替時に見抜くことは難しく「ちゃんとした場所で両替する」などの自衛をするしか方法はなさそうです。ただ、今回の札を詳細に調べてみると印刷は勿論ですが、紙質が全く違うらしく「手触り」は本物と明らかに違っていました。手が慣れてくれば見分けることができる可能性もありそうです。
とにかく使い道がなくなった偽札君は、今も自分の手元に資料としてそっと保管してあります。日本円の場合、所持自体が違法なのは重々承知ですが、考えてみれば、欲しくてもなかなか手にいれられない”偽札の本物”は、貴重な資料と言えるかもしれません。

ロス・グラシアレス Los Glaciares

 

イグアス国立公園 Iguazu National Park

 

コルドバのイエズス会伝道所とエスタンシア群 Jesuit Block and Estancias of Córdoba