パラナピアカーバのSL列車

  •  パラナピアカーバの蒸気機関車と客車

    ではここで走っている蒸気機関車列車について紹介します

    SL列車に乗るためには、駅構内の真ん中にかかっている大きな橋を渡って・・・

    橋の真ん中あたりの坂道を下ると、ほらそこに・・・

    旧式の木造客車が見えてきました!

    坂道を下った先に、小さな券売所があります。ちなみに、SL乗車券を買うと、博物館も見られます。

    ホームの壁にはこんな看板がありました。Ponto Histórico 歴史的な場所とな。Patio Ferroviário,Estacoes e Relogio ってのは、駅と時計台がある鉄道操車場、ってことかな。「1867年に「サンパウロ鉄道」として、内陸部からコーヒーを運ぶために線路が敷設されました。1874年には、ここに最初に駅ができ、1898年には2番目のより大きな駅が開業しました。・・・」とここ、パラナピアカーバの変遷を大まかに書いてあります

    やってきたのはこんな機関車。テンダー(炭水車)がないタンク機関車です。

    水タンクがボイラーの上にかかる”サドルタンク”と呼ばれるタイプです。

    銘版を見ると SHARP STEWART 1867。おお、初期の蒸気機関車のトップメーカー、名門シャープ・スチュアート社が1867年に作った機関車です。今から150年前!の老体です。

    この シャープ・スチュアート社は、1872年の日本の鉄道開業時に導入された蒸気機関車10両のうち4両(後の鉄道院160形)を製造していました。

    動輪部分。シリンダーが内側にあって見えない形式です。

    車軸配置は0-6-0。いわゆるCタイプロコですね。

    こうしたサドルタンク蒸気機関車をじっくり見る機会はあまりなかったのですが、下回りなどとにかく整備しにくそうです。

    このステップの形状が往時のイギリス蒸気機関車を感じさせるのは自分だけでしょうか?

    当然ながらクロスヘッドも見えません。

    リアの雄姿。石炭も大して積めず、やはり入れ替え用の機関車との位置づけでしょう。

    つながっているのが客車。

    ・・・窓枠が無いのがお分かり頂けますか?

    実は、この客車、半分壊れたような状態なのです。

    つまり、こんな感じ。車体の外壁半分が取り外されていて、中の骨組み部分が完全にむき出しになっています!ちなみに係の人は「ちょっと補修中」と言っていました。

    これがその反対側。外側は完璧に整っています。ただし・・・。窓枠はあるけど、窓はありません。この日は大雨でしたので当然雨がガンガン入ってきました。

    ・・・でも。反対にこんな状態でも体験乗車させてもらえるのはありがたいことです。ブラジルの融通さは素晴らしい!

    燃料は薪。確かにそこらへんにそうですし。火力は出ない、との話ですが、短区間の運転なので支障はないのでしょう。

    これから薪にしようとするいろいろな廃材が置いてありました。体験運転が廃材焼却炉も兼ねている感じです。

  • さて、実際の乗車の様子を紹介します

    跨線橋の坂を下りた先が、切符売り場兼改札です。

    これがそのチケット。

    客車に入りました。「乗客の皆様へ 規則に従ってください。ホームを車で走らないでください」とのこと。

    車内の様子。ちゃんと窓ガラスがある場所もあります。

    ダブルルーフ車です。採光用の窓があります。

    窓とシート。

    大雨の日でしたので、雨は容赦なく吹き込みます。

    イスは転換式でした。画期的です。

    車内の様子。乗客は15人ほどでした。

    窓枠の様子。

    窓枠。今までの歴史がしみ込んでいて、何とも言えないいい感じです。

    こんな様子も、自分にとってはフォトジェニックな風景。

    客車のブレーキは、当然手動式。

  • 実際の乗車の様子

    出発準備が整うまで、ここの運営団体 ABPF:Associação Brasileira de Preservação Ferroviária”ブラジル保存鉄道協会"

    のボランティアの方が熱く歴史的意義と、これまでの変遷を語ってくれました。

    さあ、いよいよ出発です。長大なホームがあるパラナピアカーバ駅の本線ではなく、引き込み線のようなところからの出発です。

    下には電化されている現在の本線を見ながら、例の大きな橋の下をくぐります。

    現行のラック式路線を横目に見ながら進みます。

    新線の第5機械棟の横を進みます。

    木造の荷物車らしき車両の横には・・・。

    当時は最新式だったであろう運転台別室のディーゼルカーがありました。

    ボイラー棟のそばの大きな穴のような施設。

    蒸気エンジンを動かすのに大量の水が必要だったと考え、おそらく貯水池だったのでは、と予想します。

    車内から見た新線用第5機械棟。

     

    解説の方はABPFのボランティア。熱く、簡潔にここの解説をしていました。

    運転終了後の整備中です。

    日本なら「撮影禁止」と言われそうな場所ですが、そこはブラジル。全く問題なし。「もっと撮って」と言われそうな暗いです。

    SL列車の客車と、駅構内全景。

    週末・休日に運転しているようです。もし行けるようでしたらぜひ体験してください。


パラナピアカーバ Paranapiacaba

  • 【動態保存 蒸気機関車列車】

  • かつて、南米一の大都市サンパウロと、その最短距離の港町サントスを結んでいたこの路線。全ての物流がここを介して行われていた黄金時代から、時が止まったような蒸気機関車が、今も運転されています。もちろん観光客用の体験乗車で、運転される距離は数百メートル、乗車時間はわずか10分たらずではありますが、本物の蒸気機関車が煙を吐いて、客車を引っ張る姿、そしてそれに乗車できる体験は素晴らしいものでした。このぺーじでは、その動態保存されている蒸気機関車列車について紹介しましょう。

【蒸気機関車 マリア・フマサ Maria fumaça】

ポルトガル語で蒸気機関車をマリア・フマサ (Maria fumaça、蒸気機関車)」と言いますが、ここではその保存運転が行われています。公開時間は週末と休日の16時までです。

 


【ABPF】

ABPFとは、Associação Brasileira de Preservação Ferroviária つまり”ブラジル保存鉄道協会”とでも訳せばいいのでしょうか。とにかく、このABPFがブラジルの鉄道保存の中心的組織で、ここの蒸気機関車列車もこの組織によって運行されています。政府組織ではなく、ボランティア団体ですので、経営は厳しそうですが、機関車の説明をする姿や、列車内での解説の姿をみていますと、皆さん本当に鉄道が好きで、進んでボランティアをしていることが分かり、深く感動してしまいました。このABPFが無ければ、ブラジルでの鉄道の歩みが消えてしまうことにもなり、本当に貴重な存在だと思います。