トップ > ヨーロッパの世界遺産 > ポーランドの世界遺産 >アウシュヴィッツ・ビルケナウ ナチスドイツの強制絶滅収容所
細かな説明は必要ないでしよう。日本の原爆ドーム、南アフリカのロベン島と同じく、「人類が同じ過ちを犯さないように」として登録された"人類の負の遺産"です。第二次大戦中、ナチスドイツによって作られた「強制収容所」と言う名の大量殺人工場跡。ユダヤ人を筆頭として、反ナチス主義者、共産主義者、地元ポーランド人など28の民族、150万人(一説には400万人)以上を虐殺したといわれる場所です。 歴史が好きで、人並み程度には世界史の知識はあると自負していた自分で、この存在は幼い頃から知っていたものの、正直言ってその実際の恐ろしさは訪れるまで理解していませんでした。ガイドブックにはIt takes about 2hoursとあったので、「2時間あれば・・・」と思っていましたが、実際に行ってみると全てが衝撃的で、気が付けば半日以上も滞在していました。初めは一つの建物を見ているだけでも心が精一杯で、すぐにも帰りたいような、息が詰まるような思いをしていましたが、「ここに来た以上やはり現実を見なくちゃ」と思い直しました。だから初めはカメラを出すことすらためらったのですが「できるだけ多くの人にこういう事があったこと、そしてこれを繰り返してはいけないことを伝えなくては」と思い直し、つらいものにも敢えてレンズを向け、一つ一つ撮っていきました。自分は政治的にも思想的にも宗教的にも偏っておらず、いわゆる「普通の日本人」だと思っていますが、やはりここを見ていると、人が人を殺してしまうことの恐ろしさ、戦争の悲惨さを心から感じてしまいます。「やっぱり戦争は絶対にいけないよ」と強く強く思いました。世界各地の観光地にあれほどいる日本人観光客も、ボクが訪れたこの時はだれも見かけませんでした。係員の方に聞いてみると、日本人も来ることは来るが、ほとんど来ず、来たとしても年配の方が多いとのこと。しかし、そんな日本人だから(特に自分と同じかそれより下の世代)こそ、ここを訪れるべきだと思います。これら悲劇の現実が、世の中のこと、世界政治のこと、戦争のこと、そして人の命のことを、真剣に深く考え直す機会を与えてくれると信じています。
戦争が未だ絶えず、悲惨なニュースが途切れない、暗くつらい現代だからこそ、かつて人類が犯したとんでもない犯罪の跡をより多くの人に知ってもらう必要があると考え、悩みながらもしっかりとこのページを作りました。息苦しく、苦しい気持ちになるものばかりですが、是非ご覧になり、戦争のこと、差別のこと、そして人の命のことを深く考えるきっかけになれば幸いです。
筆者の主観的評価 | ||
オススメ度 | 決して繰り返してはならない人類の悲劇を直視するためにも 訪れるべき場所だと思います。本当に残酷で筆舌に尽くせない悲劇の現場ですが、だからこそ多くの人にも訪れて欲しいと思いました。 |
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訪問のしやすさ | 近くに鉄道駅もありますが、それほど便が良いわけではありません。バス・タクシーを使って回ることもできますが、それほど本数は多くありません。 | |
旅行環境整備 | 世界各国からの訪問者が理解できるように様々な言語での解説が用意されています。 | |
総合評価 | 日本人旅行者の数は、他国に比べてかなり少ないようです。本当に厳しい内容ですが、戦争の悲劇、人類の悲劇を直視することはとても大切だと思いました。 |