10.ユネスコについて

 ユネスコは、世界各国に世界遺産条約の批准と、自然遺産と文化遺産の保護を働きかけます。そして世界遺産条約が批准されると国内の文化財や自然環境を世界遺産リストに推薦するよう働きかけ、世界遺産登録地の保全状態について報告のシステムがつくられます。ユネスコは、技術的援助や専門的トレーニングを提供することで、締約国が世界遺産の保護を円滑に行えるように支援し、特に危機にさらされている世界遺産に対しては緊急援助を提供します。また、国際協力をつうじて世界遺産の保全を促し、世界遺産条約の理念を広報する活動を行っています。

●ユネスコ世界遺産センターの役割
ユネスコ世界遺産センターは1992年にユネスコ事務局長の提案によって設立されました。主な仕事内容は、世界遺産ビューロー会議と世界遺産委員会の運営、締約国に世界遺産を推薦する準備のためのアドバイス、技術的な支援の管理、危機に瀕した世界遺産への緊急支援、また世界遺産危機の運営などです。センターは他にも、技術セミナーなワークショップの開催、世界遺産リストやデータベースの作成、世界遺産の理念を広報するための教育教材の作成などの活動をしています。センターは、ユネスコ文化局や科学局、他の関連する諮問機関であるICOMOS、IUCN、ICCROM、そしてOWHC(世界遺産都市連盟)、ICOM(国際博物館会議)などの国際的な団体と協力しています。

●ユネスコの諮問機関
IUCN(国際自然保護連合)
 International Union for Conservation of Nature and Natural Resources。1948年にユネスコやフランス政府、スイス自然保護連盟などの呼びかけで各国政府、民間の自然保護団体が参加して発足した自然環境保全に関する国際機関。自然遺産の評価、調査の面で、世界遺産委員会に協力している。

ICCROM(文化財の保存及び修復の研究のための国際センター)
 International Centre for the Study of Preservation and Restoration of Cultural Property。1959年に発足した政府間機関で、文化財の保存及び修復の学術的・技術的問題に関する研究や助言を行い、技術的問題に関する研究や助言を行い、技術者の養成、修復作業の水準向上に援助を行う。通常ローマセンター。

ICOMOS(国際記念物遺跡会議)
 International Council on Monuments and Sites。1965年に発足した国際機関で、人類の遺跡や建造物の保存を目的とする。推薦された文化遺産に対し、調査に基づいて専門的評価、調査を行い、世界遺産委員会に協力する。